OpenCap:無料で使えるAIベースのモーションキャプチャーシステム
OpenCapは、スタンフォード大学のScott Delp教授の研究グループによって開発された、クラウドベースのマーカーレス・モーションキャプチャ・システムです。従来のモーションキャプチャと比較して、手軽かつ低コストで関節運動などの三次元的な身体運動データを取得できるという特徴を持ち、スポーツ指導の現場や臨床現場において有用なツールとなる可能性を秘めています。
簡単な環境構築で高精度な動作分析が可能
OpenCapは、Wi-Fi環境と1台のPC、2台のiPhoneがあれば計測を開始できます。マーカー不要で被験者の自然な動作を捉えることができ、特別なスタジオや高価な機材が不要な点が大きなメリットです。これにより、限られた予算やスペースでも高度な動作解析が可能となります。
この記事ではOpenCapがどのような動作解析ツールなのか解説します。
別記事でOpenCapの使い方について詳しく解説しています。興味がある人は読んでみて下さい。
OpenCapのメリットと特徴について


データをCSVファイルとしてダウンロードすることでより詳細に解析することも可能。
OpenCapは、スタンフォード大学のScott Delp教授の研究グループによって開発された、クラウドベースのマーカーレス・モーションキャプチャ・システムです。
1台のPC(またはiPad)と2台のiPhone、Wi-Fi環境を利用して動作時の関節運動などの解析を行うモーションキャプチャーシステムです。
OpenCapでは、AIの技術をもとに動作解析を行っている点が大きな特徴となっています。
研究などで動作解析を行う場合、VICONなどのマーカーベースのモーションキャプチャーシステムを用いることが多くありますが、デメリットが多くあります。
OpenCap | 従来のモーションキャプチャ | |
---|---|---|
環境構築 | Wi-Fi環境+1台のPC+2台のiPhoneで計測可能 | 専用スタジオ、複数台の赤外線カメラ、専用PCが必要 |
計測方式 | マーカーレス(特別な装置を身に着けずに計測) | 体に反射マーカーを装着する必要あり |
コスト | iPhoneを用いるため大幅に低コスト | 高額な設備投資が必要(数百万以上) |
可搬性 | どこでも測定可能(屋外や体育館など) | 撮影環境に制限がある |
データ取得までの時間 | 短時間でデータ取得・解析が可能 | データ処理に時間がかかる |
使用対象 | スポーツ指導、臨床、教育、研究など広範囲に活用可能 | 研究機関や一部のプロスポーツチームなど限られた環境でのみ利用可能(解析に専門的な知識が必要) |
マーカーベースのモーションキャプチャーシステムは動作解析を行う上でゴールデンスタンダードな方法となりますが、費用面や解析に専門的な知識必要な点などから、使用方法が大きく制限されてしまいます。
一方で、OpenCapの場合、使用方法も簡単で、コスト的にも低額に抑えることができるため、幅広い人が扱うことができる動作解析ツールとなります。
研究目的の使用だけでなく、部活動やクラブチームなどで競技力向上やケガの予防に向けて使用することもできます。
*無料での使用は非営利目的での研究・教育に限られています。営利目的などの場合、商用版OpenCapのサービスライセンスを購入する必要があります。
OpenCapの撮影精度に関する研究報告
OpenCapは非常に使い勝手の良いモーションキャプチャーシステムであることがここまでの説明でご理解頂けたかと思います。
気になるのが撮影精度です。
いくら使い勝手が良くても、撮影精度があまりにも低くいと実際に使用することは難しくなってしまいます。
OpenCapが公表されてから撮影精度に関する多くの研究報告が行われています。
ゴールデンスタンダードとなるマーカーベースのモーションキャプチャーシステムと比較した研究が多くあります。
ジャンプやスクワット、歩行などの比較的ダイナミックな動作時の計測誤差は5°程度となることが報告されています。
関節運動の方向や観察する関節によって計測誤差に違いがあり(屈曲や伸展などの矢状面上での計測誤差は少ない)、動作がダイナミックになるほど誤差は大きくなりやすいとされています。
しかし、動作時に人がしっかりと視認できる関節角度の差は5°以上と言われていることを考えると、現状の計測精度でも、使用場面を考慮すれば十分使用可能であることが分かります。
*撮影精度の比較対象となることが多い、マーカーベースのモーションキャプチャーシステム自体にも測定誤差が生じてしまう点には注意が必要です。
AIの技術を使用して計測していることを考えると、撮影精度がさらに向上していくことが考えられます。
参考文献
Advances in Markerless Motion Capture Systems : A Review of OpenCap and Its Applications
Evaluation of a Smartphone-based Motion Capture System for Athletic Movement Screening
Concurrent validity of smartphone-based markerless motion capturing to quantify lower-limb joint kinematics in healthy and pathological gait
OpenCap: Human movement dynamics from smartphone videos
Validation of OpenCap: A low-cost markerless motion capture system for lower-extremity kinematics during return-to-sport tasks
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