【HIITの真実】HIITを行っても脂肪はそんなに減らないし、減量はそこまで進みません

トレーニング

論文をもとにHIITを解説‼脂肪が減らない、減量が進まない理由とは⁉

最近HIITってよく耳にしますよね??

HIITにもれなくついてくる言葉が「ダイエットに効果的」、「短期間で脂肪燃焼」といったダイエットに励む人なら、もれなく食いついてしまいそうな言葉です。

そんなにうまい話ってあるんでしょうか??

実際にHIITに関する論文をを読んでみて見えてきたものがあったので、自分の復習も含めて紹介していきます。

先に結論から申し上げます…

結論は、この記事のタイトルから分かるように、「HIIT自体では脂肪はそこまで減らないし、減量はそこまで進まない」となります。

なぜこのような結論に至ったのか、また、ダイエットおけるHIITの役割は何なのか。

この点を中心に解説していきます。



HIITってどんな運動??

本題に移る前にHIITがどんな運動か簡単に紹介します。

HIITとはHigh Intensity Interval Trainingのことで、日本語に訳すと高強度インターバルトレーニングとなります。

短時間の高強度な運動(無酸素性エネルギー供給がメイン)を短いインターバルをはさんで複数セット行う、心肺機能に大きな負荷をかける運動になります。

近年、多くの研究が行われており、HIITを行うことによるメリットも多く報告されています。

HIITの一番のメリットはエネルギー供給能力の向上(有酸素・無酸素ともに)となります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

HIITで脂肪は効率的に減る??減量は効率的に進む??

それでは本題に移ります。

冒頭で紹介したように、SNSなどでHIITは「脂肪の燃焼に効率的」とか「ダイエットに効果的」と紹介されていることが多いです。

果たしてホントなのでしょうか??

結論としては「HIITを行うことで脂肪の燃焼が効率的に行われるわけでもなく、HIIT自体が減量を効果的に促す運動ではない。ただし、エネルギー供給能力が向上するので痩せやすい身体を作ることはできる。」となります。

なぜこのような結論に至ったのでしょうか??

HIITと脂肪燃焼

まずは脂肪燃焼の観点からです。

運動生理学から考えると、軽~中等度の運動強度で長時間持続するような運動様式が脂肪燃焼に効果的であるとされています。

これには運動時のエネルギー供給機能が大きくかかわってきます。

高強度で短時間運動を行うような運動様式(いわゆる無酸素運動)の場合、糖質を中心としたエネルギー供給となります。

一方で、軽~中等度で長時間運動を行うような運動様式(いわゆる有酸素運動)の場合、脂質を中心としたエネルギー供給となります。

また、時間に依存してエネルギー源として利用される脂質の量も増えていくので、運動時間は短いよりも長い方が脂質はエネルギー源として多く利用されます。

HIITは短時間の高強度な運動を複数セット行う運動様式となります。

特にセット数が少ないうちは糖質優位な無酸素性エネルギー供給が主に行われているので、脂肪を燃焼しやすいような運動様式になっていないのです。

また、HIITはしっかりとインターバルの時間を管理して行ったとすると、10~15分もあれば終えてしまいます。

よって、HIITの場合、時間的にも脂肪をたくさん燃焼するだけの運動時間にもなっていません。

以上のことから、HIITは脂肪の燃焼に適した運動であるとは言えないという結論に至ります。

HIITと減量(消費カロリー)について

次に「減量効果(消費カロリー)」についてです。

減量効果を考える上で重要となるのが運動における消費カロリーです。

一般的に運動による消費カロリーは運動強度」と「持続時間に依存するとされています。

つまり、強度の高い運動を長時間行い続けると消費カロリーは大きくなります。

しかし、ここで注意しないといけないのが、高強度の運動は長時間持続して行うことができないということです。

高強度の運動は無酸素性エネルギー供給の割合が大きくなり、運動の持続可能時間もせいぜい1~3分程度とされています。

したがって、持続時間を増やすことができない高強度の運動では、消費カロリーを十分に増やすだけの時間を確保することができません。

一方で、軽~中等度の運動強度の場合、有酸素性エネルギー供給がメインとなってくるので長時間運動を持続することができます。

長時間運動を持続することができればカロリーをたくさん消費する時間を確保できるようになります。

このことから、カロリー消費には中等度の運動強度で長時間(少なくとも30分以上)運動を行うことが推奨されています

ちなみに、HIITで消費されるカロリーはせいぜい200kcal程度であることも報告されています。

30分のランニングで概ね200~300kcal消費されることを考えるとHIITが効率的とは言い切れません。

「HIITのような最大酸素摂取量付近で運動を行う場合、EPOC(運動後過剰酸素消費量)によるアフターバーンによりカロリーが消費されるから、HIITは効果的にカロリーを消費することができる」と解説する人もいます。
*EPOCについてはこちらこちらで分かりやすく解説されています。

しかし、アフターバーンによるカロリー消費も運動の持続時間による影響を大きく受けるので、やはり運動時間の短いHIITはカロリー消費には適していないということになります。

以上のことから、HIIT自体での減量は効果的ではなく、長時間持続することができる中等度の運動強度で運動を行うことが効果的となります。

カロリーに関する基礎知識

カロリーに関する基礎知識と効率的にカロリー消費を促すNEAT(ニート)についてまとめています。
興味がある人は下記よりご覧ください。
– 脂肪燃焼に必要なカロリーの基礎知識
– ダイエットを効果的に進めるニート(NEAT)とは⁉

HIITはダイエットに効果がないのか??

ここまでの内容を踏まえると、あたかもHIITがダイエットに効果的ではないと言っているように感じられたかもしれません。

しかし、実際はHIITはダイエットに非常に効果的な運動になります。

HIITを行うことで有酸素性エネルギー供給能力無酸素性エネルギー供給能力の両方が向上することが報告されています。

これはつまりHIITを行うことで、有酸素運動と無酸素運動のどちらを行っても疲れにくくなることを意味しています。

疲れにくくなるということはダイエットを進める上で大変重要な要素です。

例えば、運動を持続できる時間が増えたり、エレベーターを使っていたのが階段でも大丈夫になったり…

例を挙げればキリがないくらい多くの恩恵をもたらしてくれます。

HIIT自体に脂肪の燃焼や減量効果が少なかったとしても、二次的にもたらす影響は計り知れません。

効率的にダイエットを進める上でHIITは強い味方になってくれます!!

まとめ

  • HIIT自体による脂肪の燃焼効果や減量効果は少ない
  • HIITを行うことで疲れにくい身体を作ることができ、その結果として効率的にダイエットを進めることができる
  • ダイエットの成功にはHIIT+α(食事制限、有酸素運動、筋トレなどなど)が重要!!
ダイエットに関する情報

ダイエットに関する情報を複数記事で紹介しています。興味がある人は下記よりご覧ください。
エビデンスに基づく美尻トレーニング
エビデンスに基づく筋力強化と筋肥大の基礎知識
効率的に持久力向上・心肺機能を強化するトレーニング方法

参考資料

  • 田畑泉:田畑トレーニング-エネルギー論的に最も有効なトレーニング方法-日本音響学会誌76 巻2 号(2020),pp. 117–122
  • Greig Rogan et al : A Review of Adolescent High-Intensity Interval Training, Sports Medicine April 2014
  • Stuart J.H. Biddle et al : Correlates of physical activity in youth: A review of quantitative systematic reviews, International Review of Sport and Exercise Psychology March 2011
  • Sarah A Costigan et al : High-intensity interval training for improving health-related fitness in adolescents: A systematic review and meta-analysis, British Journal of Sports Medicine June 2015
  • Kassia S Beetham et al : High-intensity interval training in patients with lifestyle-induced cardiometabolic disease: A systematic review and meta-analysis, British Journal of Sports Medicine October 2013
  • 本間研一:標準生理学 第9版
  • 大地陸男:生理学テキスト 第8版

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コメント

  1. たろ より:

    YouTubeで高強度と書かれたHIIT、8分(インターバル10~15秒)を毎日2回、3ヶ月ほど続けました。
    朝は食べない、昼800cal程度、夜1000~1500cal程度取っていても、1ヶ月でウエスト82~76cm(腹筋が薄く割れる程度)まで落ちました。
    以降はcal量を1日2000cal未満、高強度HIIT1回、高強度、腕、背中、腹筋、足トレ各3分自重のみで2ヶ月続けてます。プレテイン無し(毎日卵2つ取り入れている)で、ノーマルマッチョくらいにはなりました。
    走ったり食事制限など試しましたが、好きなもの食べながら痩せれるHIITが一番私にはあっていました。

    • self_study self_study より:

      コメントありがとうございます。
      ダイエット方法も数多くあって自分自身に合う方法を見つけるのがとても難しいと思います。
      たろさんのように自分に合う方法を見つけてしっかりと結果を出せているのは凄いことだと思います‼
      脂肪燃焼、カロリー消費の観点からHIITに対してやや否定的な記事を書きましたが、理論背景もしっかりと研究されているHIITは有用なトレーニング方法の一つだと思います。
      私自身もトレーニングの一環としてHIITを行っており、効果を実感しています。

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