短時間で多くの効果を生み出すHIITについて論文をもとに詳しく解説|エビデンスに基づくトレーニング解説

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徹底解説‼理論背景、メリット・デメリットなどHIITについて論文をもとに詳しく解説

HIITというトレーニング方法はご存知でしょうか??

HIITとはHigh Intensity Interval Trainingのことで、日本語に訳すと高強度インターバルトレーニングとなります。

SNSやYouTube、雑誌などで「ダイエットに効果的」や「脂肪燃焼に効果的」と紹介されており、耳にしたことがある人も多いと思います。

しかし、紹介されているHIITの中には本来のHIITプロトコルから大きくかけ離れた方法となってしまっているものもあります。

HIITの効果を十分に発揮するためにはHIITの理論を理解して、正しい運動方法で取り組む必要があります。

そこで今回は、研究報告をもとにHIITの正しい運動方法について解説します。

ポイントは短時間で限界まで動くことと短い休憩です。

それでは実際に解説していきます。

HIITってどんな運動??

HIITとはHigh Intensity Interval Trainingのことで、短時間の高強度な運動を短いインターバルをはさんで複数セット行う、心肺機能に大きな負荷をかける運動になります。

国内外問わず多くの研究が行われており、多くのメリットがあることが明らかになっている科学的根拠のあるトレーニング方法となっています

また、HIITは短時間で行うことができるので、忙しく過ごす現代人にとって効果的かつ実現可能な運動方法となる可能性があります。

必要な道具もタイマー程度であり、試しに取り組んでみやすいといったメリットもあります。

HIITのトレーニング方法

具体的なHIITのトレーニング方法ってどのような方法になるのでしょうか??

多くの研究で行われているプロトコルをもとに紹介します。

多くの研究では酸素摂取量心拍数をもとに運動強度を決定しています。

一般的なトレーニング環境の場合、酸素摂取量を計測することが困難なので心拍数をもとに運動強度を決定すると良いです。

HIITトレーニングを行う上で目標となる心拍数は予測最大心拍数の80%~100%です。

*予測最大心拍数は一般的に「220-年齢」とされています。例えば30歳の場合、「220-30=190回/分」となります。

また、運動の持続時間については長くても1分以内のものが多く、強度と合わせて考えると50秒持続困難な運動を行う必要があります(50秒持続困難な運動を行うと心拍数は予測最大心拍数の80%を超えてきます)。

インターバルの時間については運動時間の半分程度の時間が目安となります。

HIITの場合、心肺機能に大きな負荷をかけることがポイントとなるので、インターバルが長くなってしまうと心肺機能にかかった負荷が回復しきってしまい、複数セットを行うメリットが少なくなってしまうので注意が必要です。

セット数については1回のHIITトレーニングで8セット程度行うものが多いです。

しかし、運動強度が高いトレーニング方法となるので、自身の体調と相談してセット数は変えても良いです(セット数が少なくなると効果としても少なくなりますが…)。

運動の種目については研究で行われている方法では自転車(エアロバイク)を用いた方法やランニング(トレッドミル)を用いて行うものが多かったです。

エアロバイクやトレッドミルを用いるメリットとしては重さや速度を変えることで負荷強度を調整しやすいといったことが挙げられます。

しかし、人によってはエアロバイクやトレッドミルが使えない人も多いと思います。

この場合はバーピージャンプやもも上げなどの下半身を主に使う全身運動がおすすめです。

バーピージャンプやもも上げが適している理由は、下半身にある筋肉が上半身と比較して大きなものが多く、心肺機能に負荷をかけやすいからです。

よって、ベストな運動種目としては「エアロバイクやトレッドミル」、次点として「バーピージャンプなどの下半身を主に使う全身運動」です。

*YouTubeなどで腕立て伏せなどの上半身メインの運動でHIITを行っているものを見かけますが、心肺機能にHIITとして十分な負荷をかけれていないことが懸念されます

ここで一度トレーニング方法についてまとめると以下のようになります。

  • 予測最大心拍数の80%以上を目指す
  • 1分以内の運動(50秒持続困難な運動)
  • インターバルは運動時間の半分が目安
  • 8セットを目標に複数セット行う
  • 運動種目はエアロバイクやトレッドミル、バーピージャンプなどの下半身を主に使う全身運動がおすすめ

です。

HIITの理論背景

こまかな説明をすると複雑になりすぎてしまうので大まかに理論背景を説明します。

HIITの基本的な運動様式は短時間全力で動いて、短時間休憩をはさんで複数セット行うといったものになります。

このような運動様式の場合、短時間全力で動くことで無酸素性エネルギー供給の効率が高まり短時間休憩をはさんで複数セットを行うことで有酸素性エネルギー供給の効率が高まります

ヒトの機能は限界まで負荷がかかるとさらに強くなろうとする働きあると言われています。

運動によって身体にかかった負荷が回復しきらない状態で次のセットに移るHIITでは無酸素性・有酸素性の負荷を短時間で大きくかけることができます。

このような運動様式になっていることがHIITによって多くのメリットが生み出される理由となっています。

心肺機能に大きな負荷をかけて身体のエネルギー供給能力を高めてくれるHIITを行うことで、疲れにくい身体を作ることができます。

これによって普段の活動量が増えてダイエットの効果も得られやすくなるとも言われています。

HIITのメリット

HIITを行うことで多くのメリットが得られることが報告されています。

  • 血糖値の改善
  • インスリン機能の改善(インスリン抵抗性の改善)
  • 血中の脂質の改善
  • 有酸素性エネルギー供給能力の改善
  • 無酸素性エネルギー供給能力の改善
  • 身体の炎症の改善
  • 体組成の改善(長期効果)

ジョギングなどの一般的に行われている有酸素運動と比較してこれらの改善が得られやすいことが報告されています。

HIITのデメリット

多くのメリットが報告されていますが、少なからずデメリットもあります。

デメリットと言えないかもしれませんが…

  • とにかくキツイ
    短いインターバルで予測最大心拍数の80%以上の強度の運動を複数セット行うのはホントに大変です。心が折れそうになります。
  • HIITとしてのプロトコルを行えていない可能性がある
    運動方法によっては負荷が少なくなってしまっていることもあります。負荷が少ないとHIITとしての効果を得ることができません。
  • 脂肪はそこまで燃焼せずにダイエットに直接結びつかない
    HIITを行うことで消費されるカロリーせいぜい200kcal程度であることが報告されています。運動で直接的にカロリーを消費するためには中等度の負荷の運動を長時間行う方が良いです。
  • 筋肉はそこまでつかない
    筋肉がつくためには、筋肉にかかる機械的負荷を大きくする必要があります。HIITは自重トレーニングなのでそこまで機械的負荷は高くなく、筋肥大はそこまで期待できません。

参考資料

  • Tabata I et al : Effects of moderate-intensity endurance and highintensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Medicine and Science in Sports and Exercise, 28, 1327-1330.1986
  • 市橋則明他 : 高負荷での自転車エルゴメーターによるペダリングトレーニングが筋機能に与える影響. 理学療法学,17(2), 101-106.2002
  • Tabata I : Effect of highintensity endurance training on isokinetic muscle power. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology, 60(4), 254-258.1990
  • 田畑泉:田畑トレーニング-エネルギー論的に最も有効なトレーニング方法-日本音響学会誌76 巻2 号(2020),pp. 117–122
  • Greig Rogan et al : A Review of Adolescent High-Intensity Interval Training, Sports Medicine April 2014
  • Stuart J.H. Biddle et al : Correlates of physical activity in youth: A review of quantitative systematic reviews, International Review of Sport and Exercise Psychology March 2011
  • Sarah A Costigan et al : High-intensity interval training for improving health-related fitness in adolescents: A systematic review and meta-analysis, British Journal of Sports Medicine June 2015
  • Kassia S Beetham et al : High-intensity interval training in patients with lifestyle-induced cardiometabolic disease: A systematic review and meta-analysis, British Journal of Sports Medicine October 2013
  • 本間研一:標準生理学 第9版
  • 大地陸男:生理学テキスト 第8版

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