効率的に持久力向上・心肺機能を強化するトレーニング方法を徹底解説‼|エビデンスに基づくトレーニング解説

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効率的に持久力向上・心肺機能を強化する方法を基礎から徹底解説‼

スポーツ活動や登山・マラソンなどの趣味で持久力向上や心肺機能を鍛えたいと思っている人も多いと思います。

持久力や心肺機能を強化するためには中等度の負荷で長時間持続する運動高強度で短時間行うインターバルトレーニング(High Intensity Interval Training : HIITなど)の大きく分けて2通りの運動方法があります。

今回は持久力や心肺機能の基礎知識と実際のトレーニング方法について解説していきます。

運動と心肺機能・持久力の関係と効率的なトレーニング方法

まず最初に運動における持久力と心肺機能の基礎知識について簡単に解説していきます。

運動と心肺機能・持久力の関係

運動と心肺機能の関係

運動時には、安静時と比較して筋肉が活発に活動しています。

筋肉が活動するためにはエネルギーが必要になります。

このエネルギーの産生や供給機能に重要な役割を果たすのが心肺機能です。

心肺機能は大きく分けると「呼吸器」と「心臓」に分けることができます。

私たち人間は外気から酸素を取り込んで身体の必要な部分で使用し、使用する過程で生じた二酸化炭素を排出することで身体を動かしています。

この酸素と二酸化炭素の出し入れを行う重要な器官が呼吸器となります。

また、心臓は肺で取り込んだ酸素や細胞が活動するために必要なエネルギー源を血液にのせて循環させることで身体中に配達する役割をになっています。

運動における心肺機能の役割はこちらで詳しく解説しています。

以上のように、筋肉がしっかりと活動して運動を遂行するためには心肺機能の役割が重要になります。

特にマラソン、登山、水泳などの持久力が必要となる有酸素運動時に心肺機能の役割が重要になります。

つまり、持久力を向上するためには心肺機能を向上することが必須となります。

持久力向上と密接な関係がある心肺機能は運動によって鍛えられることが分かっています。

*心肺機能は最大酸素摂取量という指標によって評価されます。

では、どのような運動で心肺機能は鍛えられるのでしょうか??

心肺機能はどんな運動で鍛えることができるの??

心肺機能を鍛えるためには大きく分けると2種類の運動方法があります。

中等度の運動を長時間行う持続トレーニング高強度の短時間運動を繰り返し行うインターバルトレーニングです。

心肺機能を鍛える持続トレーニング

持続トレーニングにはトレーニング効果を得るために必要な負荷量の下限が分かっています。

予備酸素摂取量40~49%(運動時の酸素摂取量/最大酸素摂取量)、もしくは最大心拍数の55~64%週3~5回の頻度少なくとも20分以上の持続が必要とされています(アメリカスポーツ医学会の提言)。

最大心拍数は一般的に「220-年齢」とされています。例えば30歳の場合、「220-30=190回/分」となります。

持続トレーニングで心肺機能を鍛える場合、最大酸素摂取量を個人で計測することは難しいので、最大心拍数を目安に運動を行うと良いと思います

また、最大心拍数の55~64%の運動は主観的には「ややきつい」程度の運動強度のことが多いです。

例)30歳の場合

最大心拍数:220-30=190回/分
トレーニング時の目標心拍数:190×0.55~0.64=104.5~121.6 →概ね105~120回/分
トレーニングプラン:心拍数105~120回/分となるような速度で20分以上のジョギングを週3~5回行う

心拍数はスマートウォッチで測ることができます。

そこまで高額ではないので一つ持っていると便利です。

心肺機能を高めるインターバルトレーニング(High Intensity Interval Training : HIITなど)

近年、インターバルトレーニングは、持続トレーニングと比較して効率よく持久的パフォーマンスや心肺機能を向上させるトレーニング方法として積極的に研究が進められています。

その中でも特に注目を集めているのがHIIT(High Intensity Interval Training)というトレーニング方法です。

HIITは心肺機能向上だけでなく多くのメリットがあるインターバルトレーニングとして注目されています。

多くのトレーニングプロトコルが報告されていますが、ポイントは高強度の全身運動を短時間全力で繰り返し、短い休憩をはさんで複数セット行うことです。

高強度はどんなに頑張っても50秒以上続けることができない運動、短時間の休憩は運動時間の半分以下の休憩時間を意味します。

目標は8セットですが、かなりキツイので最初はムリだと思います。

体力に応じてムリせずに行ってください。

HIITを行うことで有酸素運動時のエネルギー供給能力のみならず、無酸素運動時のエネルギー供給能力が向上することも報告されています。

トレーニング効果は、その機能に対して、最大の負荷をかけたときに最大となると考えられています。

エネルギー供給能力についても同様です。

HIITは短時間で運動持続困難となるような運動を短時間の休憩をはさみながら複数セット行うプロトコルです。

つまり、無酸素運動と有酸素運動のどちらの要素も含まれています。

1セット目を中心とした序盤のセットは酸素摂取量が少なく(息切れ、呼吸数が少ない)、無酸素性エネルギー供給機構によりエネルギー供給が促されています。

さらに、疲労困憊まで追い込むことができる運動様式でもあるので、運動終了時の筋中の乳酸濃度が高まり、無酸素運動としての効果も高くなります。

一方で、休憩時間も少なく、終盤セットでは最大酸素摂取量近くまで酸素摂取量を増やすことができる(=有酸素性エネルギー供給機構に大きな負荷をかけれている)運動様式でもあるため、有酸素性エネルギー供給機構を高める運動としても適しています。

HIITは短時間で有酸素運動と無酸素運動の両方の能力を同時に高めることができる非常に効果的な運動なのです!!

しかし、HIITには欠点もあります

それはHIITを行っても直接的な減量に繋がらない点と筋肉が効率よくつくわけではない点です。

運動を行うことで減量するためには、カロリーをより多く消費する必要があります。

HIITを行うことで消費されるカロリーせいぜい200kcal程度であることが分かっています(体格により差はあります)。

運動で直接的にカロリーを消費するためには中等度の負荷の運動を長時間行う方が減量には効果的です。

また、筋肉をつけるためには大きな負荷を筋肉にかける必要があります(筋肥大についてはこちらで詳しく解説しています)。

筋肉に大きな負荷をかけるためにはHIITでは不十分です。

ウエイトトレーニングを併用することで筋肥大も同時に狙っていくことが重要となります。

HIITはあくまでエネルギー供給機構に対する効果が主です。

有酸素・無酸素性のエネルギー供給能力が高まることでトレーニングを行いやすい身体になり、ダイエットや筋肥大が効率的に促されるようになりますが、これはあくまで間接的な効果であることはしっかりと理解しておく必要があります。

まとめ

  • 効率的に持久力向上・心肺機能を強化するトレーニング方法について解説
  • 心肺機能は有酸素運動時に特に重要で持続トレーニングとインターバルトレーニング(HIIT)で鍛えることができる
  • 持続トレーニングは最大心拍数の55~64%、週3~5回の頻度、少なくとも20分以上の持続がポイント
  • HIITは高強度の全身運動を短時間全力で繰り返し、短い休憩をはさんで複数セット行うことがポイント
  • HIITにもデメリットがある(消費カロリーと筋肥大の効率)
トレーニングやダイエットに関する情報

参考資料

  • Tabata I et al : Effects of moderate-intensity endurance and highintensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Medicine and Science in Sports and Exercise, 28, 1327-1330.1986
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  • Tabata I : Effect of highintensity endurance training on isokinetic muscle power. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology, 60(4), 254-258.1990
  • 中原英博他:呼吸循環系の長期トレーニング適応.循環制御 第 39 巻 第 2 号(2018)
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  • Helgerud J et al: Aerobic high-intensity intervals improve VO2max more than moderate training. Med Sci Sports Exerc; 39: 665-71.2007
  • 田畑泉:田畑トレーニング-エネルギー論的に最も有効なトレーニング方法-日本音響学会誌76 巻2 号(2020),pp. 117–122
  • 本間研一:標準生理学 第9版
  • 大地陸男:生理学テキスト 第8版

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