【科学的根拠に基づくダイエット】食事と運動以外に重要なNEAT(ニート)とは⁉
ニートってご存知ですか??
ニートって聞くと家事や仕事をしないで過ごしている人をイメージするかもしれません。
今回紹介するニートはこのニートではありません。
最近、ダイエット界隈でもニートがという言葉をよく耳にするので、聞いたことがある人も多いと思います。
ダイエットにおけるニートはNon Exercise Activity Thermogenesisの頭文字をとってNEAT(ニート)と呼ばれています。
これを和訳すると非運動性熱産生となります。
このニートを理解して日々の生活を過ごすことでダイエットを効率的に行うことができます。
今回はダイエットにおけるニートの重要性について解説していきます。
一日に消費される総エネルギー(カロリー)の割合
ニートの話と合わせてダイエットの基礎知識となる人のエネルギー消費について簡単に説明します。
一日に消費される総エネルギー(カロリー)は「基礎代謝」、「食事誘発性熱産生(DIT)」、「身体活動(ここにニートも含まれます)」で消費されるものの総和になります。
大まかな割合は基礎代謝:約60%、DIT:約10%、身体活動:約30%と言われています。
基礎代謝、DIT、身体活動について少し詳しく説明していきます。
基礎代謝とは
基礎代謝は一日に消費される総エネルギーの約60%を占めています。
基礎代謝量は人が生命維持のために消費する必要最小限のエネルギーのことです。
何もしていない安静時でも必要となるエネルギー量が基礎代謝量となります。
心身ともに安静にしている状態でエネルギーが必要になる理由には内臓機能の維持や体温の維持など様々なものがあります。
基礎代謝量は性別・身長・体重・年齢によって違い、筋肉量によっても変化します(詳しくはこちらをご覧ください)。
同じ性別・身長・体重を持つ人を比べた場合、筋肉量が多い方が基礎代謝量も多くなります。
この筋肉には平滑筋(内臓)・心筋(心臓)・そして俗に筋肉と呼ばれている骨格筋の3種類があります。
骨格筋はトレーニングを行うことで成長させることができるので、トレーニングを行って筋肉量を増やせば基礎代謝が増えて痩せやすく太りにくい身体になります。
食事誘発性熱産生(DIT)とは
食事をした後、安静にしていてもエネルギーが消費されて代謝量が増大する現象を「食事誘発性熱産生(Diet Induce Thermogenesis : DIT)」と言います。
このDITは一日に消費される総エネルギーの約10%を占めています。
食事によってエネルギーが消費されるなんてビックリしますよね??
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。
このため食事をした後は、安静にしていても代謝量が増えるとされています。
食事後に身体が温かくなることを経験したことがあると思いますが、それがこのDITによる体温上昇です。
DITでどれくらいのエネルギーが消費されるかは摂取する栄養素の種類によって異なるとされています。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%が消費されます。
通常の食事はこれらの混合ですが、バランスの良い食事を摂っているいる場合は、摂取エネルギーの約10%程度がDITによって消費されるといわれています。
*ダイエットに必要な各栄養素の基礎知識はこちらで解説しています。
また、加齢や運動不足で筋肉が衰えると、基礎代謝が低下するだけでなくDITも低下すると言われています。
逆にトレーニングで筋肉を増やすとDITは高くなるとされています。
しかし、よく噛まずに飲み込んだり、流動食だけを摂る場合に比べるて、よく噛んで食べる方がDITは高くなるといわれています。
DITを高めるコツは、たんぱく質をしっかりと摂取する、よく嚙んで食べる、筋トレもしっかりとする。
この3つがポイントになります。
身体活動量とは~EATとNEAT(ニート)~
身体活動によって消費されるエネルギーは一日に消費される総エネルギーの約30%を占めています。
身体活動によるエネルギー消費は、運動によるものと(Exercise Activity Thermogenesis : EAT)、家事などの日常生活内での活動が該当する非運動性身体活動によるもの(NEAT)の、大きく2つにわけることができます。
身体活動量における両者の割合は、運動を習慣的に行っているかどうか、行っている運動の強度によって変化します。
ただし、運動を定期的に行っていなくても家事や仕事などでたくさん動いている人もいるので、一概に運動を習慣的に行っている人の方が身体活動量が多いとも言い切れません。
身体活動量は指数として扱われることが多く、この身体活動量の指数を用いて一日の必要カロリーの概算を出します。
ひと昔前までは身体活動量を高めるために運動をたくさん行うことに注目が集まっていましたが、近年では家事などの日常生活活動が該当する、非運動性身体活動によるエネルギー消費、別名NEATに注目が集まっています。
一部の職業的運動選手や高度の運動習慣を持つ人を除けば運動がエネルギー消費全体に占める割合は3%程度とわずかであり,身体活動によるエネルギー消費の90%以上はNEATによるものと考えられています。
また、日常生活の中での身体活動とエネルギー消費の関係を検討した研究により以下のことが明らかになっています。
肥満群では非肥満群に比べ1日当たりの臥床時間に差はなかったが,座位時間が164 分長く,立位時間と歩行時間の和が152分短かった。これを反映して肥満群のNEATは非肥満群より約40%少なかった。
このようなことが多くの研究により報告されています。
また、一日の立位あるいは歩行に費やす時間を2.5時間増やすだけで約350kcalエネルギーを余分に消費できることや肥満患者の体重減少は立位・歩行時間の長さと相関し,体重増加は立位・歩行時間の長さと逆相関したが報告されています。
以上のことより、エレベーターを使わずに階段を使う、近くのコンビニまでは歩いていくなどの日常生活の何気ない活動を見直すことで消費カロリーを大きくすることができ、結果としてダイエット成功に導きやすくなることが考えられます。
座ってボーっとして過ごすのではなく、立っている時間や歩いている時間を増やしてNEATを高めることが肥満の解消につながるのです。
まとめ
ダイエットを成功させるためには「基礎代謝」、「食事誘発性熱産生」、「身体活動量」を高めて消費カロリーを高めることがポイントになります。
それぞれを高めるポイントは以下の通りです。
・基礎代謝:筋肉の量を増やす
・食事誘発性熱産生:たんぱく質をしっかりと摂取する、よく嚙んで食べる、筋トレもしっかりとする
・身体活動量:EATとNEATを高める。効率を考えるとNEATをしっかりと意識する必要がある
特に近年ではNEATの重要性が重要視されています。
何気ない日々の生活の中で、いかに身体を動かすことができるか。
当たり前のようで難しいことだと思いますが、ここがポイントになります。
参考資料
- 浜岡隆文:運動と褐色脂肪組織活性化による疾患予防について.東医大誌 75(1): 41-50, 2017年
- 金森雅夫他:生活習慣病予防のため NEAT の効果についての文献学的レビュー.びわこ成蹊スポーツ大学研究紀要 第13号
- 早川幸博:メタボリック症候群の病態と身体活動の役割について.看護学研究 Vol.10 1- 8 2018年
- Levine JA : Inter individual variation in posture allocation possible role in human obesity. Science 307: 584-586. 2005
- 坂口一彦:NEATと肥満/糖尿病.糖尿病55(5):313~315,2012年
- 福田 康一郎 他:標準生理学第8版
- 大地陸男:生理学テキスト第7版
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