PTとして働きながら大学院で学位取得経験:新潟医療福祉大学理学療法学分野

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PTとして働きながら大学院で学位取得経験:動機、スケジュール、感想など

皆さんは大学院進学を検討してみたことはありますか??

世界と比較すると日本人の大学院進学率が高くないといった情報を耳にすることも多いです。

国からの支援が少ない、働きだしてから恩恵を受けることが少ない(分野によって大きく違いますが…)など様々な要因があって大学院進学率は低くなっているようです。

私が働いているリハビリテーションの分野でも、理学療法士に着目すると卒業してそのまま大学院に進学する人の割合は約6%と稀な存在です。

私のように社会人として働きながら大学院に進学する人の割合はもっと低く、稀有な存在でした(言い方を変えると変わり者、変人)。

大学院進学の動機、仕事と両立したスケジュール、大学院に進学して大変だった点や良かった点などについて書き記していきます。

今回の記事が大学院進学に悩んでいる人のお役に立てれば幸いです。

大学院進学を決意した動機

それでは最初に大学院進学を決意した動機についてです。

  • 自分の力で研究ができるようになりたい
  • 職場に大学院修了者がいなかった
  • 稀な存在になれる
  • 臨床で働きながらでも価値ある研究を行えるようになりたい
  • 研究したいテーマが定まっていたが職場で研究を行うことができないテーマであった
  • 好奇心
  • 働きだしてから勉強が好きになった

人それぞれ大学院進学を決意する動機は違いますが、私が大学院進学を考えた理由を列挙すると以上のような項目が挙げられました。

学部生からそのまま大学院に進学する場合は、卒業研究で行っていた研究を深掘りしたいと考える人が多いと思います。

一方で、働きながら、社会人を経験してから大学院に進学する人は教員を目指して学位を取得する人臨床で働きながら浮かんだ疑問(クリニカルクエスチョン)を解決するための研究に着手するために進学する人が多いと思います。

現在、理学療法士養成校(大学)で教員をしている人の9割以上が修士以上を取得しています。教員を目指すとしたら修士以上を取得することは必須といっても過言ではないです。

ちなみに私は今も昔も大学教員にまったく興味がありません…笑

大学院進学者が職場におらず研究手法を学びにくい環境であったこと、研究テーマ(膝蓋骨(膝のお皿)の動きを解析)が定まっている、臨床でも価値ある研究を積み上げていくためのステップアップの場となるなどの理由から研究大学院進学を考えました。

まあ、後付けでそれらしい理由を挙げるといくらでも出てきそうですね…笑

カッコつけずに正直な理由を一つだけ挙げるとしたら「好奇心‼」に尽きると思います。

色んな人に出会うことができる、職場にいるだけではできない色んな経験ができるなどなど…

私の中では好奇心に勝る動機はないのではないかと思いました。

実際に大学院で学んでいた期間は大変なこともたくさんありましたが、刺激的で好奇心を満たしてくれる充実した期間となりました。

大学院での実際のスケジュール:進学前・進学後に分けて

PTとして働きながら通った大学院での実際のスケジュールについて簡単に紹介します。

大きく分けると進学前と進学後の二つに分けられるかと思います。

社会人として働いてからフルタイムで院生になる場合や働きながら院生として就学する場合は似たようなスケジュールになるのではないかと思います。

細かなカリキュラムは大学ごとに違う点が多いので各学校のウェブサイトやパンフレットなどで確認してください。

私の体験談を参考までに紹介します。

大学院進学までのスケジュール:事前準備と入試

PTとして働きながら大学院で研究を行う場合、何点か事前に調べておいた方がよい情報や注意した方が良い点があるので以下に列挙します。

  • タイムスケジュール的に働きながら大学院で就学、研究活動を進めることは可能なのか?
    →授業の日程、授業のスタイル(対面のみ?、オンラインOK?)、所属する研究室のスケジュール、職場の勤務時間との兼ね合い、働きながらでも修了要件を満たすことができるか(履修可能授業の把握)
    (*資料や実際に面談してみて事前に調べました)
  • 職場の理解が得られるかどうか?
    →少なからず職場には迷惑をかけてしまうことがある(履修可能な授業の都合上、早退させて頂くことが多々ありました)、
  • 研究テーマが決まっている場合、その大学院で本当に研究を進めることができるのか?
    →設備や環境、指導教員の専門性
  • 学費と就学支援制度について
    →国や団体が設けている就学支援制度の他に学校ごとに様々な就学支援制度が設けられています。事前にしっかりと調べておくことで損をしないようにしましょう。学費をそこまで増やさずに通常よりも長い年数をかけて就学できる長期履修制度を用意している学校もあります。私も長期履修制度を利用しました。ゆとりをもったスケジュールを組むことで仕事との両立もしやすくなります。
  • 指導教員との面談
    →自身が行いたい研究に応じた教員と面談(メール、対面などで)をします。私の場合は行いたい研究が明確に決まっていたので面談段階で比較的深くディスカッションを行いました。明確な研究内容が決まっていない場合は「こんな感じのことに興味があります」程度でも問題ないかと思います。どの教員と面談すればよいか分からない場合は、最初に大学院の分野長の先生に相談すると良いです。
  • 入試に関する準備
    →学校に応じて入試の方法が違うので予め調べておいて準備しておく必要があります。

私が意外と手こずったのが「職場の理解」です。

当時、私が勤務していたクリニックの上司に当たる人が事務さんだったのが厄介でした。

休診日以外に仕事を休んだり早退して大学院で勉強や研究をすることに対する理解を得ることができずに揉めてしまいました。

最終的には研究を進めることで学会発表や論文投稿などでちょっとした宣伝効果に繋げることができる点や極力仕事に支障をきたさないようにすることを十二分に説明し、何とか了承を得ることができました。

理解が得られにくそうな職場の場合、しっかりと説明できるそれなりの理由を用意しておくことも重要なんだなと痛感しました。

大学院進学後のスケジュール

大学院進学後のスケジュールについてです。

私は長期履修制度を利用したので通常2年間の修士課程を3年間過ごしました。

長期履修制度を利用したことで時間的な余裕をある程度持つことができ、結果として仕事と院生生活の両立がしやすくなりました。

仕事と両立した院生生活の大まかなスケジュールを学年別に紹介します。

当時勤務していたクリニックは水曜日の午後、土曜日の午後、日曜日が休診日となっていたため、その日を有効活用できるようにスケジュールを組んでいました。

院生生活1年目のスケジュール

2年目と3年目で研究にしっかりと時間を割きたかったので1年目にかなり頑張って授業を受けて修了要件を満たすための単位を取得しました。

長期履修制度を利用しなくても通常のスケジュール通りに修了できそうなくらい詰め込みました…笑

結局このことが功を奏して2年目と3年目に難易度が高い研究にトライすることができたのでいい選択だったと思っています。

一週間のスケジュールは概ね以下の通りです。

  • 月曜日:8:30~18:30まで勤務。19:40からオンラインで授業1コマ。
  • 火曜日:8:30~18:30まで勤務(火曜日は残業をすることが多かったので授業は入れていませんでした)
  • 水曜日:8:30~12:30まで勤務。午後から大学へ(研究室のミーティング、予備実験、実験などの大学に行かないとできないことを進める)
  • 木曜日:8:30~18:30まで勤務。仕事後に大学に行き19:40から対面授業1コマ。
  • 金曜日:8:30~17:00まで勤務(時間休を使用させて頂きました)。大学に行き18:00~21:30まで対面授業。
  • 土曜日:8:30~12:30まで勤務。
  • 日曜日:オフ。研修会、学会などに参加することも。

    *この他にも日曜日に行われる集中講義を受講することで修了要件を満たすだけの単位を取得できるようにしました。また、実験などをするために仕事後に大学に行くこともありました。

水・木・金曜日に学校に行ったときは夜遅くまで残って調べ物や勉強をしていることが多かったです。

日付が変わる頃に帰宅するなんてことが良くありました。

やはりこうやって振り返ってみるとけっこうハードスケジュールでした…笑

職場から大学までの距離が約50kmと長距離移動が必要だったので、大学に行かないとできないようなことを大学に行った日にしっかりと進められるようにスケジュールを組むことを意識しました。

また、授業以外にも先行研究の調査、研究に関する勉強、データ解析や統計処理に必要となるプログラミングの勉強も同時に行っていました。

夜間や早朝の時間を活用していましたが、これがまた難題で相当厳しかったです。

Rというプログラミング言語を使用してデータ解析や統計処理を行っていたのですが、これがホントに難しかったです。この辺は別記事で紹介できればと思います。

紹介したように長期履修制度を利用しなくても通常のスケジュールで終了できそうなくらいハードに詰め込んで授業を受けていました。

これも2・3年目にしっかりと研究に集中できるようにするための私の作戦でした。

実際に長期履修制度の利用を検討している方はここまでハードに詰め込まなくてもOKだと思います。

院生生活2・3年目のスケジュール

1年目にハードに詰め込んだおかげで2年目以降はゆとりをもって過ごすことができました。

2年目以降は研究メインで授業は週に1~2回程度でした。

2・3年目の大まかな一週間のスケジュールは以下の通りです。

  • 月曜日:8:30~18:30まで勤務。
  • 火曜日:8:30~18:30まで勤務。
  • 水曜日:8:30~12:30まで勤務。午後から大学へ(研究室のミーティング、研究活動)
  • 木曜日:8:30~18:30まで勤務。19:40からオンラインで授業1コマ(2年目前期のみ)
  • 金曜日:8:30~18:00まで勤務。19:40から大学で対面授業
  • 土曜日:8:30~12:30まで勤務。
  • 日曜日:オフ。

    *必要に応じて業務終了後に大学に行き、実験などの大学でしか行えないことを進めました。

2・3年目のスケジュールは大体こんな感じです。

1年目と比較すると授業が少なく時間的な余裕があるように思えます。

しかし、2・3年目では研究を本格的に進めているので、実験などのために大学に行く機会がかなり増えました。

実験をするために仕事後に毎日大学に行っていた時期もありました。

平均すると週2~3回程度大学に行っていたと思います。

1年目にハードに授業を詰め込んだおかげで2・3年目は複数の研究にチャレンジすることができたので良かったです。

3年目(最終年)の大きなイベントなるのが修士論文の作成と審査会です‼

審査会と修士論文の作成は院生生活の中でも最大のイベントといっても過言ではありません。

定期的に研究の進捗状況を報告する発表会が行われ、最終学年の1月に最終的な審査会が行われました。

私の場合、院生生活の間に査読を受けて専門誌に受理された論文がすでにあり、これが修士論文とみなされていました。

よって、修士論文ように新しく論文を書き直す必要もなく、審査会用に資料を作るのみで良かったので助かりました。

無事に審査会も合格して晴れて修士号取得することができました✨

振り返ってみるとホントにハードなスケジュールをこなしていたな~って思いました。

PTとして働きながら大学院へ進学してみた感想

働きながらの大学院進学は体力的にも精神的にもツラいことはたくさんありました。

深夜や早朝に勉強をするため睡眠時間が少なくなりがち、基本的には休日も勉強、同僚が飲み会に行くのに自分は実験…笑、とにかく時間に追われ続ける日々などなど。

大変だったことはたくさんありました。

しかし、それ以上に知識、人脈、考え方など得るものが大きい3年間を過ごせました。

勉強面だけでなく、限られた時間の中で工夫しながら物事を進める良い練習にもなったと思います。

大学院に進学してみて100%後悔なしです‼

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