ストレッチ負荷で筋肥大を効果的に筋トレメニューとは⁉|エビデンスに基づく筋トレ解説
理想とする体型に近づくために筋トレに励む人も多いと思います。
筋トレを行うことで筋肉に刺激が入り筋肉は成長していきます。
この筋肉の成長を筋肥大と言います。
多くの研究により筋肥大を効果的に促す方法が明らかになっています。
伝統的に行われている方法から、新たな知見を取り入れている方法まで多くのトレーニング方法があります。
そこで、伝統的に行われているトレーニング方法に追加することで筋肥大の効果が向上するトレーニング方法をシステマティックレビュー論文をもとに紹介します。
同じような方法だけで筋トレを繰り返していると、苦労をせずに効率的に身体を使うようになってしまいます。
その結果として筋肉にしっかりと負荷をかけることができなくなってしまい、筋肥大の効率が下がってしまいます。
したがって、トレーニング方法にもバリエーションがあることが筋肥大を効率的に生み出すポイントとなります。
今回はストレッチ(遠心性収縮)負荷を効果的に用いたトレーニング方法について紹介します。
基礎知識や伝統的に行われているトレーニング方法についても解説しています。
–筋肥大の基礎知識について
–伝統的に行われているトレーニング方法について
筋肥大効果を高めるAccentuated Eccentric Loading Method(AEL)とは⁉
Accentuated Eccentric Loading Method は直訳すると遠心性負荷を強調したトレーニング方法です。
このトレーニング方法のポイントをまとめると以下のようになります。
- ストレッチ時(遠心性収縮時)に強い負荷をかける
- 負荷の目安としては求心性収縮時の20~60%増
(例)ベンチプレスの最大挙上重量の30%増で補助をしてもらいながらバーベルを下ろす - 極力ゆっくりとストレッチ(遠心性収縮)しながら行う
- 回数はオールアウトが基本、2~3セットを目標に実施
- 負荷が大きい分怪我のリスクが高くなるので、インターバルは十分にとる
筋肉の収縮様式を筋肉の長さの変化ごとに分けると求心性収縮、等尺性収縮、遠心性収縮の3種類があります。
求心性収縮は筋肉の長さが短くなりながら力を発揮し、等尺性収縮は筋肉の長さが変わらずに力を発揮、遠心性収縮は筋肉の長さが伸ばされながら力を発揮発揮します。
遠心性収縮はトレーニング界隈では「ストレッチ」という言葉で認知されていますが、筋肉が伸張=ストレッチされながら力を発揮するので、ストレッチというように呼ばれています。
これらの収縮様式の中で遠心性収縮はもっとも力を出すことができる収縮様式になります。
遠心性収縮では収縮に伴う筋力だけでなく、筋肉がもつ受動的な張力をもとに力を生み出すこともできるので発揮される力も大きくなります(ゴムをイメージすると理解しやすいです)。
この特性を利用して、筋肉により大きな負荷を加えて筋トレを行う方法がAELとなります。
つまり、AELはより大きな機械的負荷を筋肉に与えることで筋肥大が効率的に促せる点が最大のメリットになります。
欠点としては、筋肥大に重要となるもう一方の要素である代謝系への負荷を高めることが難しい点が挙げられます。
また、求心性収縮時に負荷を少なくして遠心性収縮時に負荷が強くなるなるような特殊なトレーニング機器が必要、またはトレーニング補助者による求心性収縮時の補助などが必要になる点も欠点の一つです。
欠点も存在しますが、通常行われているようなトレーニングプロトコルと比較して有意な筋肥大効果が得られたことを報告する論文も多数存在します。
AELを普段のトレーニングプロトコルに追加して行ってみることで違った刺激が筋肉に入り、筋肥大効果を高めてくれるかもしれません‼
参考資料
- Schoenfeld, B.J.: The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training. J. Strength Cond. Res. 2010, 24, 2857–2872.
- English, K.L. et al: Early-phase musculoskeletal adaptations to different levels of eccentric resistance after 8 weeks of lower body training. Eur. J. Appl. Physiol. 2014, 114, 2263–2280.
- Douglas, J et al: Chronic Adaptations to Eccentric Training: A Systematic Review. Sports Med. 2017, 47, 917–941.
- Michal Krzysztofik et al: Maximizing Muscle Hypertrophy: A Systematic Review of Advanced Resistance Training Techniques and Methods.Int. J. Environ. Res. Public Health 2019, 16, 4897.
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