筋肥大を目的とした高負荷・高重量での効果的なトレーニング|エビデンスに基づく筋トレ解説

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筋肥大を目的とした高負荷・高重量での効果的なトレーニング|エビデンスに基づく筋トレ解説

理想とする体型に近づくために筋トレに励む人も多いと思います。

また、筋肉があることは見た目や運動パフォーマンスだけでなく、様々な疾患(心血管疾患、代謝性疾患、フレイル、運動器疾患など)の予防にも繋がります。

では、どうすると筋肉は育つのでしょうか?

筋肉の成長には筋トレが効果的です。

筋トレを行うことで筋肉に刺激が入り筋肉は成長していきます。

この筋肉の成長を筋肥大と言います。

筋肥大は筋肉へ機械的負荷(メカニカルストレス)や筋代謝へのストレスが高まることで誘発されます。

機械的負荷や代謝へのストレスを効率的に高めることで筋肥大を効率的に促すことができるトレーニング方法が多くの研究により報告されています。

この中でも今回は機械的負荷を増やす高負荷高重量でのトレーニングについて紹介します。

高負荷・高重量でのトレーニングの基礎知識:過負荷の原則

古くから筋肥大や筋力向上といった筋トレを行うことによる効果を得るためには「過負荷の原則」と「特異性の原則」に従う必要があることが周知されています。

簡単に以下に説明します。

過負荷の原則と特異性の原則

過負荷の原則
筋トレの効果は通常用いているものよりも強くなければ効果は得られないという原則。運動の強度、運動の持続時間、運動の頻度といった3つの基本条件があり、この基本条件を高めことで負荷を高める。つまり、楽に行える負荷で行っても筋トレの効果は得られないということ。

特異性の原則
ある種の能力は同じ種類の運動を行うことで効果的に高めることができるといった原則。例えば、遠心性収縮(ストレッチ)のトレーニングを行えば遠心性収縮の筋力が特に高まる、ベンチプレスでトレーニングを行えば特にベンチプレスが行いやすくなるように筋力は向上する。

今回紹介する高負荷・高重量でのトレーニングはこの二つの原則の中でも「過負荷の原則」に関係します。

高負荷・高重量でトレーニングを行う場合は過負荷の原則の3つの基本条件の中でも運動強度を高めることで筋肉への負荷を高めていきます

運動の持続時間や運動頻度といった他の基本条件と比較すると、短時間で筋肉への負荷を高めることができる点がメリットとなります。

また、一般的に高負荷・高重量での筋トレは神経学的要因の改善による筋肉の出力向上にも適しているとされています。

筋トレによる神経学的要因の改善について別記事で解説しています。興味がある人は下記よりご覧ください。
筋トレによる神経学的要因の改善について

高負荷・高重量でのトレーニングは筋肥大だけでなく発揮できる筋力の上限を効率的に上げることができるのでメリットは非常に大きいです。

また、高負荷・高重量でトレーニングを行うと速筋線維優位に使用されるので筋力向上や筋肥大効果が得られやすいといったメリットもあります。

一方で負荷や重量が大きくなればケガのリスクも高くなるといったデメリットもあるので注意が必要です。

筋肥大を目的とした高負荷・高重量でのトレーニングプロトコル(強度、セット数、インターバルなど)

高負荷・高重量でのトレーニングの基礎知識やメリットは紹介した通りです。

では、実際のトレーニングプロトコルはどのように行えば良いのでしょうか??

以下に記します。

  • 負荷強度:最大負荷強度(最大重量)の85%以上
  • 反復回数(reps):1-5回程度
  • セット数:3-5セット
  • インターバル:3-5分程度
  • トレーニング頻度:トレーニングを行った部位は3日間程度の休息が必要

一つの部位に対して上記のようなトレーニングプロトコルを組んで行うことが効果的とされています。

参考資料

  • 市橋則明:筋を科学する-筋の基礎知識とトレーニング-理学療法学 第41巻 第4号 217-221, 2014 年
  • 横山茂樹:筋力トレーニングの効果-神経因子の改善と筋肥大効果.PTジャーナル 第 52巻第5号.2018年
  • 本間研一:標準生理学 第9版
  • Michal Krzysztofik et al: Maximizing Muscle Hypertrophy: A Systematic Review of Advanced Resistance Training Techniques and Methods.Int. J. Environ. Res. Public Health 2019, 16, 4897.
  • 市橋則明:臨床理学療法領域におけるコア・パラダイム-筋力トレーニングにおけるパラダイムシフト- 理学療法学 第42巻 第8号 695-696, 2015年

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