「もっと高くジャンプしたい!」「試合で速く動けるようになりたい!」そんな中高生アスリートの皆さんにおすすめなのが、科学的に効果が証明されているプライオメトリクストレーニングです。本記事では、2023年に発表されたメタ分析研究の結果をもとに、プライオメトリクストレーニングの効果や正しいトレーニング方法について解説します。自分の競技パフォーマンスをレベルアップさせるために、ぜひ参考にしてください!
プライオメトリクストレーニングとは?
プライオメトリクストレーニング(Plyometric Training)は、筋肉が伸びた後に素早く縮む「伸張-短縮サイクル(SSC)」を活用し、爆発的なパワーを高めることを目的としたトレーニング方法です。バスケットボール、サッカー、陸上競技などのスポーツで、ジャンプ力やスプリント力の向上に非常に効果的とされており、多くのアスリートが取り組んでいます。
2023年に発表されたLunxin Chenらのメタ分析研究により、10歳から19歳の成長期を含む青少年アスリートのジャンプ力とスピードが大幅に向上することが証明されています。
プライオメトリクストレーニングは幅広い年代に効果的なトレーニング方法なのです。
エビデンスが示す中高生のプライオメトリクストレーニングの効果
1. ジャンプパフォーマンスの向上
Lunxin Chenらのメタ分析研究の結果、プライオメトリクストレーニングを6週間以上継続すると、以下のジャンプ種目において有意な向上が見られました:
- カウンタームーブメントジャンプ(CMJ):
- 6~8週間のトレーニングで、ジャンプの高さが約12%向上。
- 試合中のリバウンドやブロック動作で高さを確保できるようになります。
- スクワットジャンプ(SJ):
- 8週間でジャンプの高さが約15%向上。
- スタンディングロングジャンプ(SLJ):
- 6週間のトレーニングで、ジャンプ距離が約18%向上。
ジャンプパフォーマンスを評価する際に行われることが多い上記の種目で有意な向上が認められました。
これらの結果から10歳から19歳の成長期を含む青少年アスリートにおいても、プライオメトリクストレーニングはジャンプパフォーマンス向上に効果的なトレーニング方法であることが明らかとなりました。
研究では、これらのジャンプ動作の改善は、筋肉の適応(筋繊維の動員向上)や腱の強化によるものと考えられています。
2. スプリント能力の向上
プライオメトリクストレーニングは、スピードの向上にも効果を発揮します。短距離スプリントのタイムが短縮されることが研究で明らかになりました。
- 10メートルスプリント:
- 6週間のトレーニングで、タイムが平均0.04秒短縮され、スタートダッシュが改善。
*超短距離の場合、反応速度の方が影響大
- 6週間のトレーニングで、タイムが平均0.04秒短縮され、スタートダッシュが改善。
- 20メートルスプリント:
- 8週間で、タイムが平均0.12秒短縮され、速攻プレーに有利。
研究では、スプリント能力の向上は、筋力の強化とともに、神経系の適応(筋肉を素早く動員する能力の向上)が関係していると考えられています。
大人と中高生の違い:注意すべきポイント
中高生の年代は、まだ成長過程にあるため、大人とは異なる注意点があります。
- 関節や腱への負担を考慮する
- 中高生の年代では成長期が終わっていない人も多いです。骨や関節が成長しているため、成人に比べて構造が弱くなっているおり、過度な負荷をかけると怪我のリスクが高める可能性があります。強度を徐々に増やし、痛みがある時はムリをしないことが重要です。また、ウォームアップ、クールダウンをしっかり行うことも重要です。
- 適切な回復期間を設ける
- プライオメトリクストレーニングは疲労感以上に大きな負荷がかかるトレーニングです。多くても週2~3回の頻度を守り、十分な休息を取ることが推奨されます。
- フォームの習得を優先する
- 正しいフォームを習得し、怪我を防ぐために、専門家の指導のもとで行うことが理想です。負荷の少ないメニューから開始し、しっかりとフォームを崩すことなく行えることを確認してから負荷強度を上げていきましょう。
おすすめのトレーニングメニュー

プライオメトリクストレーニングメニューの一例をご紹介します。負荷強度の低く、特別な道具を必要としないトレーニングメニューを選びました。
- プライオメトリクストレーニングの一例
- スクワットジャンプ:10回×3セット
- スプリットスクワットジャンプ:10回×3セット *左右それぞれ
- ダブルレッグホップ:5回×4セット
- ダブルレッグタックジャンプ:10回×3セット
- シングルレッグタックジャンプ:10回×3セット
*フォームを崩さずに全力で行える回数に調整して行ってください。全力で行えるようにするためにセット間の休憩は十分にとりましょう。
まとめ
プライオメトリクストレーニングは、中高生アスリートのジャンプ力やスプリント能力の向上に科学的に効果が証明されたトレーニング法です。ジャンプやスピードを向上させたい選手は、正しいフォームと適切なプログラムでトレーニングを継続することが大切です。
日々の練習にプライオメトリクストレーニングを取り入れ、競技パフォーマンスの向上を目指しましょう!
参考文献
- Meta-Analysis of the Effects of Plyometric Training on Lower Limb Explosive Strength in Adolescent Athletes
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