【ダイエットの科学】下半身痩せ、お腹痩せが可能か科学的な視点から検討してみた
引き締まったお腹やスッキリした下半身に憧れてダイエットに取り組んでいる人も多いと思います。
SNSや雑誌などで「下半身痩せ」や「お腹痩せ」といったキャッチフレーズをもとに様々な運動が取り上げられています。
下半身やお腹といった、自分自身が気になる部位を選択的に瘦せさせることができるとしたら、ホントに嬉しい限りです。
はたして本当に下半身やお腹を選択的に痩せさせるダイエット方法はあるのでしょうか??
今回は科学的根拠をもとに選択的に下半身やお腹を痩せさせることができるかを検討していきます。
先に結論から申し上げますと、「運動や食事制限で下半身やお腹の脂肪を選択的に少なくすることは難しい」です!!
ただし、方法によっては一時的に痩せさせる、または痩せて見せることは可能です。
なぜこのような結論に至ったか解説していきます。
運動による下半身痩せやお腹痩せは可能か
「○○をやれば足が細くなる!!」とか「××を行えばお腹がやせる!!」なんて情報を目にする機会は多いと思います。
はたしてこれってホントなのでしょうか⁉
つまるところ、運動を行うことで部分的に痩せさせることができるか否かってことですが、これは”痩せるの定義”によって違ってきます。
痩せるの定義を大きく分けると“痩せる=脂肪の減少”、“痩せる=ただ単に細くなる”に分けられます。
“痩せる=脂肪の減少”の観点から考えてみます。
運動によって脂肪を減少させて痩せさせるためには、運動部位近くの脂肪をエネルギー源として使用する必要があります。
*例)腹筋をしてお腹が痩せるというなら、お腹周りの脂肪をエネルギー源として腹筋をしている必要がある
しかし、今のところ、「局所の筋運動へのエネルギー供給がその表在する皮下脂肪より供給されるような、生理学的なエネルギー供給経路は考えられない」と言われています。
これはつまり、腹筋を行ってもお腹周りの脂肪が選択的にエネルギー源として使われるわけではないということを意味します。
この他にも多くの研究で太ももの運動をしても太ももの脂肪は減らないとか、腹筋をしても腹筋の脂肪は減らないといったことが報告されています。
つまり、運動による脂肪減少に伴う部分瘦せは難しいということになります。
さらに興味がある人はこちらの記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
続いて、”痩せる=ただ単に細くなる”の観点から考えてみます。
これは可能性ありです!!
これには運動による浮腫みの改善が関与します。
運動時に筋肉が活動することで血流が増え、これに伴って浮腫みが減ります。
浮腫みが減ってくれれば体積が少なくなるので細くなります。
ただこれは、一時的な変化であることが多く、長持ちしないことがほとんどです。
浮腫んでしまう原因の改善が重要になります(例:肥満など)。
運動以外でお腹痩せや下半身痩せをねらえる可能性がある方法
運動による部分痩せが難しいことが分かりましたが、運動以外ではどうでしょうか??
可能性がある方法としては、マッサージ、医療痩身、目の錯覚を使うといった方法が挙げられます。
これらの方法については別記事で詳細な説明を行っているので興味がある人は読んでみてください!!
参考資料
- 三浦朗他.:局所トレーニングは運動部位の皮下脂肪を減少させるか?片脚の有酸素性脚自転車トレーニングがトレーニング脚の脂肪断面積および酸素利用能に及ぼす影響.デサントスポーツ科学,1999;20:106-115
- Lundberg TR, et al.: Aerobic exercise does not compromise muscle hypertropy response to short-term resistance training. J Appl Phisiol 2013, 114: 81-89
- 弓桁亮介他.日本人若年女性における体脂肪の増減の部位差.Jpn J Health & Human Ecology 2015, :81:3:75-81
- 福田 康一郎 他.標準生理学第8版
- 大地陸男.生理学テキスト第7版
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