オープンデータをもとに新型コロナウイルスの感染拡大について検討
新型コロナウイルスの報道が多くされていて個人的にも興味深く思っていました。
そんな経緯もあってちょっと前にオープンデータをもとにあれこれ調べてみました。
使用したデータはGoogleが提供するCommunity Mobility Report、厚労省が公表する新型コロナウイルス関連のオープンデータ、NHKのオープンデータ、気象庁のオープンデータです。
GoToトラベルキャンペーンは感染拡大に寄与していたか?
ここではPCR検査陽性者を新規感染者としています。実際にはPCR検査陽性=感染ではない点に注意が必要です。
まずは、「GoToトラベルキャンペーンは感染拡大に寄与していたか?」といった点について検討してみます。
少し前からGoToトラベルキャンペーンが感染拡大に寄与していたという風潮がありますが、この関係はどうなのでしょうか?
新規感染者数の推移と人々の移動の推移、GoToトラベルキャンペーンの開始タイミングをグラフに示してみます。
上のグラフをご覧いただくと分かるように新型コロナウイルスの第二波の真っ只中のタイミングでGoToトラベルキャンペーンは開始されています。
それなのに新規感染者数はほどなくして減少していっています。
この時点で、GoToトラベルキャンペーンが感染拡大の主な原因となり得るのか疑問です。
第三波の主たる要因は?少なくとも気候が関与している可能性が高い!!
2021年12月中旬頃から第三波が到来しているとされています。
果たしてこの第三波には何が関与しているのでしょうか??
東京のデータをもとに検討してみます。
人の移動が感染拡大に大きく寄与していることが報道されているので関心が集まっています。
はたして「コロナ禍」で人の移動はどの程度変化したのでしょうか??
公共交通機関や小売店・娯楽施設の利用者割合の推移を人の移動の目安としています。
また、公共交通機関や小売店・娯楽施設の利用者割合は2020年1月から2月(新型コロナウイルスが流行りだす前)が基準となっています。
第三波が到来している2020年12月末から1月初旬にかけての人の移動は4月の緊急事態宣言ほど抑え込まれてはいません。
しかし、2020年1月と比べて少ない人の移動にとどまっているんです。
そもそも12月ってイベントがたくさんある月なので人の移動は増えるはずなのに…
そうなってくると、人の移動以外の要素が強く関与しているんじゃないかと思ってしまいます。
そこで関与が考えられるのが気候の問題です。
実際にデータを見てみると気温や湿度の低下に伴ってPCR検査新規陽性者数が増えてきていることが分かります。
一般的に気温が15度を下回るとウイルスの活動が活発になるためウイルス性の疾患は流行りやすいとされています。
公表されているオープンデータをもとに検討してみても15度を下回ってから明らかにPCR検査新規陽性者数が増えていることが分かります。
PCR検査新規陽性者数と気温の関係をさらに深堀するために散布図を作成し検討しました。
散布図の見方はこちらをご覧ください。
気温が低かった日に感染していたとすると発症するのはその後の14日以内(潜伏期間)になることが想定されます。
したがって、潜伏期間となる最大14日間を考慮するためにPCR検査新規陽性者数は気温該当日を含む先の14日間の平均値を使用しています。
一見するとグラフ内にバラバラに点がプロットされていて、関係性がないように見えます。
しかし、ウイルスが活発化する15度以下に着目すると左肩上がりの傾向となっていることが分かります。
つまり、15度以下の場合、さらに気温が下がるとPCR検査新規陽性者が増える傾向となっています。
*ちなみに最低気温が15度以下の日を対象に相関検定という関係性を調べる統計処理を行うと統計学的にも関係性がある結果となりました(r = -0.6、p< 0.01)
やはり新型コロナウイルスも気候と関係があるようです。
さいごに
今回はオープンデータをもとに新型コロナウイルス感染拡大にGoToトラベルキャンペーンが関与していたか、また、気候の変化が関与していたかについて検討してみました。
報道やワイドショーから受け身で情報を得ているだけではどうしても偏った情報の取得になってしまいます。
専門家などのそれぞれの人が自分の立場に沿ったポジショントークをしがちなので。
実際に自分でデータに触れてみてはじめて見えてくるものが多いと思います。
新型コロナウイルスは我々現代人の情報に対するリテラシーを高めてくれる一助になるのかもしれません。
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