はじめに
バスケットボール選手にとって、ジャンプ力、敏捷性、スプリント能力は競技パフォーマンスの核心です。
この記事では、エビデンスのある情報をもとにトレーニング方法を紹介します。
複数のレビュー論文をもとに、選手のパフォーマンス向上に寄与するトレーニング方法について解説します。
トレーニング方法は様々ありますが、せっかくやるなら根拠ある方法が良いはずです。
バスケットボール選手に必要な身体能力を効率的に高めるための必須情報が盛りだくさんです。
今回は複数の英語論文から共通点や主なポイントをまとめました。
ぜひ、最後まで読んでみて下さい‼
1. バスケットボール選手に必要な身体能力
バスケットボールは、瞬発的なジャンプ、方向転換、スプリントを繰り返すスポーツです。これに必要な主な能力は以下の通りです:
- ジャンプ力:リバウンドやシュートの成功率を左右する。
- 敏捷性:守備や攻撃での素早い方向転換に必須。
- スプリント能力:速い移動で相手より有利なポジションを取る。
- 体幹の安定性:動作の効率性とケガ予防に寄与。
これらの能力を効率的に高めるためには、エビデンスに基づいた多面的なトレーニングが必要です。
2. エビデンスに基づくトレーニング方法
多くの論文で効果的なトレーニング方法として挙げられていたのが、「プライオメトリックトレーニング」、「体幹トレーニング」、「筋力トレーニング」、「アジリティトレーニング」です。
それぞれについて解説します。
プライオメトリックトレーニング
プライオメトリックトレーニングは、筋肉の「伸張-短縮サイクル(SSC)」を活用して爆発的な力を発揮するトレーニング方法です。オフシーズンのトレーニング期間だけでなく、シーズン中に6週間のプライオメトリックトレーニングを取り入れた選手がジャンプ力と敏捷性が顕著に向上したことが報告されています。ジャンプ力向上を目的とした場合、もっとも効果的なトレーニング方法の一つとされています。
- トレーニング内容
- リバウンドジャンプ(カウンタームーブメントジャンプ):45cmの高さから降りて即座にジャンプ。
- 垂直ジャンプ:その場で最大限の力を発揮して跳ぶ。慣れてきたら複数回繰り返しジャンプする。
- 立ち幅跳び:前方へ最大限の距離を跳ぶ。慣れてきたら複数回繰り返しジャンプする。
これらのエクササイズは、週2回、各エクササイズを15回×3セットで実施します。
*プライオメトリックトレーニングは負荷が高い運動になるので、オフ日をしっかりと設けて行う必要があります。また、怪我の予防やトレーニング効果をしっかりと得るためには正しい姿勢で行う必要があります。
体幹トレーニング
体幹トレーニングは、安定性や動作の効率を高めるために重要です。Shengyao 他 (2023年) の研究では、体幹トレーニングがジャンプ力や敏捷性、さらには技術スキルの向上にも寄与することが示されています。ジャンプやダッシュなどの速くダイナミックな動きをする時に、体幹がブレてしまうと上手く力が伝わらなくなってしまいます。体幹の安定性はとても重要な要素の一つです。
- トレーニング内容の例
- プランク(60秒×3セット)
- ロシアンツイスト(20回×3セット)*余裕があればダンベルを持って
- バランスボールを使用した体幹トレーニング
特に、不安定な状況下で行うトレーニングが効果的です。
プランクについて解説した記事はこちらです‼
・論文をもとにプランクの効果を徹底解説‼
筋力トレーニング(ウエイトトレーニング)
筋力トレーニングは、スプリント能力やジャンプ力を支える基盤です。多くの研究により、その有効性が明らかになっています。特にフロントスクワットやデッドリフトがスプリントタイムとジャンプパフォーマンスを大幅に改善するとされています。この他にもジャンプやスプリント能力には上半身の筋力も関与していることが報告されています。下半身を中心にまんべんなく筋力強化を行うことがポイントです。
- トレーニング内容
- フロントスクワット(8~10回×3セット)
- デッドリフト(6~8回×3セット)
*自身が行える最大負荷量の60~80%程度の負荷量で設定すると良いです
筋力強化について解説した記事はこちらです‼
・初心者でも分かる筋肥大と筋力強化のメカニズムを解説!
アジリティトレーニング
アジリティトレーニングは、方向転換速度やコート上での反応速度を向上させます。Miller 他 (2006年) の研究では、アジリティTテストやシャトルランが敏捷性向上に効果的であるとされています。バスケットボールでは急な方向転換や加速・減速を繰り返します。これらの動作のパフォーマンス向上にアジリティトレーニングが有効とされています。
- トレーニング内容
- シャトルラン:5~10m程度の距離を全速力で切り返してシャトルラン。5往復を複数セット。
- イリノイアジリティテスト:3~5セット程度を目安に徐々に増やす。
- 側方移動を含む短距離ダッシュ
3.トレーニングの効果を最大化するポイント
- 漸進的過負荷の原則:徐々に負荷を増やすことで適応を促進する。
- フォームの正確性:正しいフォームでトレーニングを行い、怪我を防止。正しいフォームで行うことでパフォーマンス向上にも繋がる。
- 回復を考慮:適切な休息と栄養補給を確保する。睡眠の質が高まることでトレーニング効果向上に繋がるだけでなく、試合でのパフォーマンス向上に繋がることが報告されている(Shengyao 他、2023年)。
4.まとめ
この記事では、複数のレビュー論文をもとに、エビデンスに基づいたバスケットボール選手向けのトレーニング方法を紹介しました。
プライオメトリックトレーニング、体幹トレーニング、筋力トレーニング、アジリティトレーニングを組み合わせて実施し、回復方法も活用することで、選手の競技パフォーマンスを大幅に向上させることが可能です。
正しい知識をもとにトレーニングを行うことで、効率的にパフォーマンス向上に繋げましょう‼
5.参考文献
- Plyometric Training Effects on Explosive Power, Sprint, and Change of Direction Speed in Basketball Players
- Effect of Core Training on Athletic and Skill Performance of Basketball Players: A Systematic Review
- The Effects of Plyometric Training on Physical Fitness and Skill-Related Performance in Female Basketball Players: A Systematic Review and Meta-Analysis
- Influence of Maximal Strength Performance in Front Squat and Deadlift on Linear Sprint and Jump Performance in Male Youth Elite Basketball Players
- Plyometric Training and Sprint Abilities of Young Basketball Players
- Recovery Methods in Basketball: A Systematic Review
- Training Methods and Evaluation of Basketball Players’ Agility Quality: A Systematic Review
- The Effects of Plyometric Jump Training on Physical Fitness Attributes in Basketball Players: A Meta-Analysis
- Effects of Plyometric Training on Performance in Basketball Players: A Meta-Analysis
- Effects of Two Different Short-Term Training Programs on the Physical and Technical Abilities of Adolescent Basketball Players
- Effects of In-Season Short-Term Plyometric Training on Jumping and Agility Performance of Basketball Players
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