体幹トレーニングの代表種目のプランクで効果的に腹筋は鍛えられるのか論文をもとに徹底解説‼|エビデンスに基づく筋トレ解説

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体幹トレーニングの代表種目のプランクで効果的に腹筋は鍛えられるのか論文をもとに徹底解説‼

美容、トレーニング、スポーツ、リハビリなど、幅広い分野で体幹トレーニングという言葉を耳にします。

そんな体幹トレーニングの代表的な種目の一つがプランクです。

プランクは「ダイエットに効果的‼」とか「腹筋を鍛えるならプランク‼」みたいなフレーズをよく耳にします。

プランクって世間一般的に言われているほど、ホントに万能なトレーニング方法なのでしょうか⁉

今回は研究報告などの科学的根拠のある情報をもとにプランクについて解説します。

先に結論から申し上げますと、プランクは大々的にもてはやされているほど体幹トレーニングとして万能ではないのかもしれません‼

なぜこのような結論に至ったのか解説していきます。



プランクってどんな運動??

プランクは上の図のようにうつ伏せになって前腕とつま先で身体を支える運動になります。

プランク(=plank)は日本語に直訳すると厚板といった意味があり、スポーツやリハビリの分野では体幹の固定性や安定性向上を目的に行われることが多いです。

特別な道具を使用するわけではないので、老若男女問わず幅広い人々が取り組んでいるトレーニング種目の一つとなっています。

今回紹介する基本となるフロントプランクの他にも、サイドプランク、バックプランクなどの複数のバリエーション種目があります。

様々なバリエーションがありますが、基本的には肘と足を地面につくなどして、様々な向きで体幹と下肢を「板状」に一直線に固定する運動となります。

今回は基本となるフロントプランクについて解説するので、プランクと書かれていたらフロントプランクだと理解してく読み進めて下さい。

プランクを行うときの注意点は以下の通りです。

プランクの注意点

プランクを効果的に行うためには姿勢に気をつける必要があります。注意点は以下の通りです。
1. 頭、背中、腰、踵が一直線になるように注意する
2. お尻があがりすぎないように注意する
3. 肩が肘の上にくるようにする
4. 腰が反りすぎないように注意する(腰が反る場合はおへそを引っ込めるように力を入れると良い)
5. 頭を持ち上げすぎない

以上の点に気をつけながらプランクを行うと効果的です。

再度詳しく解説しますが、プランクを行うことで腹筋を鍛えることができます。

後述しますが、腹筋が鍛えられる理由としては、プランクの姿勢と重力による負荷が関与してきます。

プランクで鍛えられる主な筋肉と筋肉の活動

プランクで鍛えられる主な筋肉

プランクでは主に腹筋群を鍛えることができます。

腹筋群の解剖学的特徴は以下の通りです。

腹直筋

腹直筋は腹筋群の中で最も目立つ筋肉です。

バキバキに割れた腹筋、シックスパックは腹直筋のことを示しています。

外腹斜筋

外腹斜筋は脇腹の筋肉です。

身体を捻る時に働く筋肉です。

ウエストがしっかりと絞られていると外腹斜筋が浮かび上がり、見栄えのいい引き締まった脇腹を作り上げることができます。

内腹斜筋

内腹斜筋は外腹斜筋や腹直筋の深部にある筋肉です。

身体を捻じる際に働く筋肉です。

深部の筋肉なので体表面から確認することは困難です。

腹横筋

腹横筋は内腹斜筋の深部にある筋肉で、腹筋群の中でも最深部に位置する筋肉です。

腰痛との関連も指摘されており、リハビリの分野でも重要視されている筋肉です。

腹筋群の中で最深部に位置する筋肉なので体表面から確認することは困難です。

腹筋群のそれぞれの筋肉の位置関係

プランク時の筋肉の活動

プランクでは負荷のかかってくる方向に対して筋力を発揮することで姿勢を維持します。

今回解説しているフロントプランクの場合、重力により体幹伸展方向(腰を反らす方向)に力が加わります。

これにこらえて姿勢を維持する必要があるので体幹屈曲筋である腹筋群が活動します。

腹筋群の中でもプランクを行うことで生じる筋肉の活動量はそれぞれ違っているようです。

筋電図を用いた研究によると、プランク時の腹筋の活動は腹直筋で最大筋力の約28%外腹斜筋で最大筋力の約10%程度腹横筋で最大筋力の約17%であることが明らかになっています(ちなみに脊柱起立筋は最大筋力の約4%)。

プランクを行うことで体幹の深部筋、いわゆるインナーマッスルが強化されるというイメージが強いかもしれません。

しかし、もっとも活動するのは表層のアウターマッスルである腹直筋なのです。

しかも、最大筋力の28%程度しか活動しません‼

プランクは腹筋群の筋力トレーニングとして適しているのか??

腹筋群の筋力トレーニングとしてプランクが行われていることが多くあります。

はたしてプランクを行うことで筋肉を大きく強くすることはできるのでしょうか??

これにはプランク時の筋肉の収縮様式が関与してきます。

筋肉の収縮様式には求心性収縮(コンセントリック)遠心性収縮(エキセントリック)等尺性収縮(アイソメトリック)の3種類があります。

筋肉の収縮様式について

筋肥大を目的にトレーニングを行う場合、求心性収縮を主体とする動作や遠心性収縮を主体とする動作が推奨されています。

プランクのように等尺性収縮を主体とする運動方法では筋肥大が促されにくいことが多くの報告により明らかになっています。

求心性収縮と遠心性収縮のメリット

筋肥大を効果的に促すとされている求心性収縮と遠心性収縮には異なるメリットがあります。
求心性収縮(コンセントリック): 乳酸などの代謝物が筋内に蓄積しやすい収縮様式。代謝産物に伴って多くの水分を引き込むのでパンプアップを誘発しやすい。このパンプアップが筋肥大を促す1つの有効な刺激されている。
遠心性収縮(エキセントリック):エネルギー消費は小さく主観的強度は下がるが、筋肉に加わる損傷刺激は大きいといった特徴がある。この損傷刺激も筋肥大を誘発する有効な刺激とされている。

また、プランクにおける筋肉の活動について解説しましたが、プランク時に腹筋群の中でもっとも活動する腹直筋ですら最大筋力の28%しか活動しません。

そう考えると負荷量としては物足りないように感じます。

プランクの持続時間を長くすればいいんじゃないか⁉と思ってしまいますが、時間効率を考えるとプランクじゃなくても良いんじゃないか⁉と思ってしまいます。

筋肥大が起こりにくい等尺性収縮である点や筋肉の活動量が少ない点を考えるとプランクを行うことで効果的に腹筋が鍛えられるわけではないのかもしれません。

むしろ時間効率を考えると、1回の負荷がより大きいような求心性収縮 or 遠心性収縮の運動を選択する方が効果的なのかもしれません。

プランクで体幹の安定性・固定性は強化できるのか??

プランクで筋肉がそこまで強く働かないし、そこまで効果的に腹筋を鍛えることができないかもしれないことをここまでで解説しました。

しかし、筋肥大を促して筋力を強化できなくても体幹の安定性や固定性を向上できるのではないか⁉という意見もありそうです。

実際に、スポーツの現場では体幹の安定性向上を目的としてプランクが行われていますが、ホントにプランクで体幹の安定性は向上するのでしょうか?

体幹の安定=体幹の剛性が高まった状態と言い換えることができます。

体幹の剛性を高めるためには腹圧の上昇がkeyとなります。

実際に腹圧の向上による体幹の安定を目的にプランクに取り組む人も多くいますし、腹圧は体幹の剛性に関与する重要な要素の一つです。

プランクを行うことで腹圧が上昇することを確認できればプランクによる体幹の安定性向上効果を検討することができます。

実際にプランク時の腹圧を測定した研究があります。

安静仰臥位での腹圧を0%、バルサルバ手技(息ごらえなどで最大限力ませて腹圧を上昇させる方法)での腹圧を100%とすると、プランクでの腹圧は10%程度以下であったことが明らかになっています。

この10%以下という数値は安静立位と同程度であり、プランクによって腹圧はほとんど高まらないことを意味しています。

体幹の安定や固定性向上のためにプランクを行うことが多くありますが、プランクではそもそも腹圧は高まらず、体幹が安定・固定された状態にはならないのです。

ちなみにですが、野球の投球やサッカーのキックなどのスポーツ動作を全力で行った場合の腹圧は瞬間的に最大腹圧の4-60%まで上昇するとのことです。

このように、腹圧の変化から、プランクは体幹の固定に直接的には関与しない可能性が考えられました。

まとめ

今回は体幹トレーニングの代表的な種目の一つであるプランクについて解説しました。

プランクは体幹トレーニングの中でも腹筋を鍛えることができる種目の一つです。

特別な道具を必要としないので取り組みやすいトレーニング方法となります。

絶大な効果を謳っている人も多くいますが、複数の論文を読んでみて、そこまで効果が高いわけではないことが懸念されました。

動作様式や負荷強度から筋肥大や筋力向上効果はさほど高くないことが懸念され、プランク時に腹圧がさほど上昇しない点から体幹の安定性や固定性を高める効果もさほど高くないことが懸念されました

一方で、プランク直後に運動のパフォーマンスが向上したことを報告する論文もあります。

この点については身体機能面だけでなく体幹に対する意識づけやプラセボ効果がパフォーマンスを高めているのかもしれません。

詳細な作用機序についてさらに調べてみる必要があると感じました。

参考資料

  • 谷本道哉:体幹トレーニングの流行の背景と効果に関する考察. 理学療法―臨床・研究・教育 27:3-9, 2020
  • Hodges PW, Richardson CA.: Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb. Phys Ther. 1997; 77: 132–142.
  • 下代小平,谷本道哉:体幹トレーニングおよび各種運動時の腹腔内圧の変化動態と体幹筋群の筋活動の関係 実験力学.2018; 18: 184–191.
  • Loenneke JP1, Fahs CA, et al.: The acute muscle swelling effects of blood flow restriction. Acta Physiol Hung. 2012; 99: 400–410.
  • Jamurtas AZ1, Theocharis V, et al.: Comparison between leg and arm eccentric exercises of the same relative intensity on indices of muscle damage. Eur J Appl Physiol. 2005; 95: 179–185.
  • Schoenfeld BJ, Ogborn DI, et al.: Hypertrophic effects of concentric vs. eccentric muscle actions: A systematic review and meta-analysis. J Strength Cond Res. 2017; 31: 2599–2608.
  • José M. Oliva-Lozano, José M. Muyor. : Core Muscle Activity during Physical Fitnes Exercises: A Systematic Review. Int. J. Environ. Res. Public Health 2020
  • 坂井建雄:プロメテウス解剖学アトラス

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