【部分瘦せは不可能⁉】マッサージで脚痩せが可能か科学的根拠をもとに解説
ブログ、雑誌、テレビなど様々なメディアで部分痩せを目的にしたマッサージの方法が紹介されています。
実際に著明なインフルエンサーの方が「お腹、二の腕を細くするならこのマッサージ!!」的な感じで紹介したものをマネして取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。
トレーニングや栄養管理と比較してマッサージは多くの労力を割くことなく実施可能なため、継続して行いやすいメリットがあります。
実際のところ、マッサージには部分痩せの効果はあるのでしょうか?
そこで今回はマッサージによる部分痩せが可能かどうかを検討していきます。
いきなり結論
いきなり結論から。
結論としては…
「マッサージによる皮下脂肪減少に伴う部分痩せの可能性はグレーゾーンだが、浮腫みの改善に伴う部分痩せは可能。
ただし、浮腫みの改善による部分痩せは一時的な効果となる。」
です。
それでは実際に、マッサージによる脂肪組織への影響と浮腫みの改善について解説していきます。
マッサージによる部分痩せ~脂肪組織へマッサージ効果~
マッサージは一般的に皮膚の上から対象組織に対して力学的刺激を加える行為となります。
したがって、脂肪組織に対してマッサージを行う場合は、皮下にある脂肪に対して皮膚の上から「押す」、「伸ばす」などの力学的負荷を加えるような形で行われます。
どのような力学的負荷が加わった場合でも、柔らかく変形することが可能な皮下脂肪はもとの形からいずれかの方向に引き伸ばされるように変形します。
そこで疑問に挙がるのが、脂肪組織に「強制的に引き伸ばすような力学的負荷」を加えることでどの様な影響が出てくるのだろうか?っといった点です。
あまりこの点について研究が進んでいないため、科学的に効果の立証が進んでいないようです。
私も実際に論文を探してみましたがこの疑問を解決してくれる報告はあまり見つかりませんでした。
しかし、ヒトを対象にした研究ではありませんが非常に興味深い研究があったので紹介します。
その研究では生体外に抽出された脂肪細胞を対象にし、脂肪細胞に伸展刺激(ストレッチ、引き伸ばすような刺激のこと)を加えることで脂肪細胞にどのような変化が起こるかを調べていました。
その研究の結果では、実際に脂肪細胞に伸展刺激を加えたところ、脂肪細胞の分化を抑制できることが示唆されていました。
一般的に脂肪の蓄積による肥満形成には脂肪細胞の肥大と脂肪細胞の分化による増殖が関与するとされています。
今回紹介した研究により、伸展刺激を入れることで脂肪の蓄積に関与する脂肪細胞の分化が抑えられる可能性が示されました。
このことから、マッサージにより脂肪の分化が抑えられ、部分痩せに繋げられることが考えられました。
しかし、この研究では脂肪細胞を体外に取り出し、生体外で脂肪細胞に直接刺激を行うことで効果を検証しています。
実際の人を対象にマッサージを行った場合、同様の効果が得られるかどうかということは定かではありません。
つまり、マッサージを行うことで脂肪を減少させることに伴う部分痩せが可能かどうかはまだグレーゾーンであると言えます。
では、部分痩せを目的としたマッサージには他にどんな効果があるのでしょうか?
マッサージによる部分痩せ~浮腫み改善~
マッサージの効果は筋肉の緊張を和らげる、痛みの緩和など様々な効果がありますが、代表的な効果の一つに浮腫みの改善があります。
マッサージによる血流改善やリンパ液の流れを良くすることで浮腫みが改善していきます。
この際に刺激を加える対象となる毛細リンパ管や毛細血管は比較的体表近くを走行しているため、強く圧迫を加えたり、ねじるような負荷を加えると傷んでしまう危険性があります。
よって、浮腫み改善を目的にマッサージを行う場合は皮膚を軽くストレッチするようにし、リンパ液の流れに沿って動かしてあげる程度で良いとされています。
また、圧迫下での運動も浮腫みの改善に効果的です。
この場合は弾性包帯や手で浮腫んだ部位を軽く圧迫してあげて、その部位の筋肉を使うようにするだけです。数分間運動を持続すだけで即時的に浮腫みは減っていきます。
このように、マッサージを行うことによって浮腫みが改善することに伴う部分痩せが生じることは周知の事実となっていますが、持続的な効果はなく、一時的な効果のみとなってしまうという欠点があります。
実際に持続性のある効果を得るためには、皮下脂肪をいかに減らしていけるかといったことがポイントになるかと思います。
まとめ
- マッサージにより、皮下脂肪を少なくすることに伴う部分痩せが狙えるかは今のところグレーゾーン。
- マッサージにより、浮腫みの改善に伴う部分痩せをねらうことは可能だが効果は一時的。
*当ブログでは部分痩せについて多方面から検討しています。興味がある方はこちらの記事もご覧ください
参考資料
- 田辺由幸他.機械的伸展刺激による細胞分化の抑制機構.日薬理誌 124, 2004: 337-344
- 原田脩平他.マッサージに血流改善の効果はあるか.Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 中原康雄他.リンパ浮腫とリハビリテーション.MB Med Reha No.191 2015: 29-33
- 佐藤佳代子.リンパ浮腫および静脈性浮腫に対する複合的理学療法.日本下肢救済・足病学会誌 8巻1号 2016: 20-26
など
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