【味覚の科学】お酒の美味しさに影響を与える要因

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【味覚の科学】お酒の美味しさに影響を与える要因

お酒の美味しさに影響を与える要因には様々なものがあるかと思います。

例えば味、香り、余韻、見た目、飲んでいる環境などなど。

この中でもお酒の美味しさに関わる絶対的な要因が「味」です。

この味に関わる感覚が「味覚」となります。

人間は様々な食べ物を口にすることで味を知覚しています。

人間がお酒などの味を知覚する際には、純粋に味覚として味を知覚するだけでなく、さまざまな要因が絡み合って味を理解しています。

味覚の奥深さを理解することでお酒の美味しさを引き出すことができ、より一層お酒を美味しく楽しむことができるようになります。

そこで、複数回に分けてお酒の美味しさに関わる要因となる「味覚」について解説していきます。

初回である今回は味覚の基礎知識について解説します。

お酒の美味しさに影響を与える「味覚」の基礎知識

味覚は動物に備わっている5感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の一つです。

味覚は口に含んだ物質に応じて認識される感覚で、生理学的には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5種類に分類されます。

甘味、酸味、塩味、苦味、うま味は基本味とも呼ばれ、人の場合は主に舌に物質が触れることで、その物質に含まれる基本味が感知されます(厳密には舌だけでなく軟口蓋や食道などでも感知されます)。

それぞれの基本味の中でも甘味、酸味、塩味、苦味が感知される部位は舌の中でも違っています。

舌先から、甘味→塩味→酸味→苦味の順となります。

詳しくは下の図をご覧ください。

このように、舌の中でもそれぞれの味を感じとる部位が違っているので、お酒の際立たせたい味によって、お酒が触れる部位を変えてみると、その味がより一層際立って美味しく感じられます。

*例えば、飲んでいるお酒の甘味を際立たせたいなら、舌先でお酒を楽しむようにするなど。

また、舌で感知された味情報は、味覚神経によって中枢とされる脳の味覚野に伝達され、脳の中でさまざまな情報と統合されて最終的に味として認知されます

脳での統合は味覚以外の様々な感覚からの情報をもとに行われます。

その情報は嗅覚や視覚などの5感だけでなく、過去の記憶や経験、今の自分の気分など、多岐にわたる情報と統合されることで最終的な味として認知されます。

この脳内での様々な情報との統合を工夫することがお酒をより一層美味しく楽しむために重要なポイントとなります。

次回から、具体的な方法も含め、この部分に触れていきたいと思います。

今回のまとめ

  • 味覚には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5種類がある。
  • 人は主に舌で味覚を感知し、甘味、酸味、塩味、苦味は舌の中でも感じやすい部位が違う(これを利用することでお酒の甘味などを際立たせることができる)
  • 味覚は脳の中で様々な情報と統合されることで最終的な味覚として認知される

参考資料

  • 岡本雅子:味嗅覚に関わる認知処理:ヒトの心理・生理学的研究.目本味と匂学会誌 Vol.26 No.1 . 17-22 2019年
  • 成川真隆他:味覚のサイエンス~加齢と味覚の関係~.日本老年医学会雑誌57巻1 号. 1-8 2020
  • 村本和世:味と匂いを統合する脳内機構.歯薬療法. Vol.39 No.1 2020
  • 坂井信之:うま味と香りの交互作用における学習の影響.日本味と匂学会誌 Vol26 No2. 95-102 2019年
  • 中西由季子:「美味しさ」と「こころ」.心身健康科学16巻1号 29-31 2020
  • 福田 康一郎 他:標準生理学第8版
  • 大地陸男:生理学テキスト第7版

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