【エビデンスに基づく筋トレ雑学】タウリン1000mg配合の「リポビタンD」はトレーニングに影響するか⁉
疲労回復を目的にサプリメントを摂取する人も多いと思います。
疲労回復を目的としたサプリメントの中で知名度が高く、入手しやすいものの一つに栄養ドリンク剤があります。
そんな栄養ドリンク剤の中でも特に知名度が高いのが「リポビタンD」です‼
「ファイト!一発!」のキャッチコピーや「タウリン1000mg配合‼」のフレーズが有名でどなたでも一度は目にしたり耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ここで気になるのが「タウリン」です。
筋トレが大好きなおじさんはふと考えました…
タウリンは疲労回復に役立つならトレーニングにも良い効果があるのかな⁉
実際に論文などをもとに調べてみるとタウリンには疲労回復や疲労予防効果だけでなく様々なメリットがあることが分かりました。
実験レベルでの情報も多く、実用性は乏しいかもしれませんが雑学としてはおもしろいネタだと思います。
それでは解説していきます。
他記事で運動時の疲労について詳しく解説しています。興味がある人は下記よりご覧ください。
– ”筋疲労の科学”筋疲労は筋肉の疲労だけではない??筋疲労の正体とは!?
– 【疲労回復で効率up!!】筋トレや運動時の筋肉の疲労を正しく理解しよう‼
– 【効果的な筋トレ】筋肉の疲労を回復するおすすめ方法:ストレッチ、マッサージ
そもそもタウリンって何なの??
タウリンのトレーニングへの影響を紹介する前にタウリンが何なのかを簡単に解説します。
タウリンはたんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸に似た物質です。
人間の身体の中には体重の0.1%に相当する量のタウリンがあるといわれています。
心臓・肺・肝臓・脳・骨髄などのさまざまな臓器や組織に広く含まれていることから、生命の維持に必要な成分と考えられています。
タウリンには心臓や肝臓の機能を高める、インスリン分泌促進、高血圧の予防、筋肉の疲労の原因となる老廃物の除去など様々な効果が報告されています。
人間の体内でも作り出すことができますが、必要量には足りないため、食品から取り入れる必要があるとされています。
また、タウリンは貝類やイカ・タコといった軟体動物に多く含まれています。
タウリンのトレーニングに及ぼすメリット
タウリンがどんなものなのかはご理解頂けたかと思います。
いよいよ、ここからが本題の「トレーニングに及ぼすメリット」についてです。
論文などをもとに調べてみるとけっこう多くの情報が出てきました。
役立ちそうな情報をピックアップして紹介します。
- 骨格筋の興奮収縮連関に関わるイオンの取り込みや放出の効率化、細胞膜損傷の抑制、抗酸化ストレス、浸透圧調節などの作用がある
→筋肉の様々な生理的応答に関わり、筋肉が効率的に働く補助作用がある - 一日あたり1-6gのタウリンを摂取することで3分間以上の持久的運動時に疲労困憊に至るまでの運動継続時間が有意に延長することが示された
- 持久的運動直後の血中乳酸濃度の上昇を抑制
→エネルギー源としての乳酸の再利用が高まりエネルギー効率が高まる(疲労耐性↑) - 運動前にタウリンを摂取することで有酸素運動時の脂質の利用up
→脂肪燃焼を促す効果 - 運動後にタウリンを摂取することで運動終了から120分後の骨格筋グリコーゲン量up
→タウリン摂取が筋肉の疲労回復を促進、または、筋収縮時にグリコーゲンを効率よく利用、グリコーゲン以外のエネルギー源(脂肪など)を積極的に利用されたことを示唆 - タウリン摂取で脂肪細胞の分解が促進
これらの他にも様々な報告がなされていました。
今までの研究でタウリン摂取が運動に及ぼすメリットで明らかになっていることをまとめると…
「運動の持久力を向上する」、「脂肪の分解を促す」、「疲労の回復を促す」となります。
結論:運動前後のリポビタンDは効果があるか
タウリン摂取がトレーニングに及ぼすメリットは紹介した通りです。
ここで気になるのが一般的に手に入りやすく、お手軽にタウリンを摂取できる「リポビタンD」を運動前後で摂取することで効果があるかどうかです。
研究では一日あたり1000mg~6000mgのタウリンを摂取していることが多かったです。
リポビタンDに含まれるタウリンが1000~3000mgと考えると、今回紹介したメリットをもたらすのにリポビタンD1本で十分かやや疑問があります。
また、持久力向上や脂肪燃焼作用といった効果はリポビタンD以外のサプリメントでも代替可能です。
効率面も考慮すると持久力向上や脂肪燃焼をねらったリポビタンD摂取にも疑問があります。
ただし、リポビタンDなどの栄養ドリンク剤にはカフェイン、グルクロノラクトン、ビタミンB類、人参、カルニチン、スクロースなどの疲労回復を促すことが期待される成分が多く含まれています。
この点を加味すると、疲労回復といった観点で考えれば何らかの恩恵はあるのではないかと考えられます。
結論としては、「運動前後のリポビタンDの疲労回復を促進する際の選択肢の一つにはなるが脂肪燃焼や持久力向上を目的としての摂取は他のサプリメントで代替が無難」です。
少しネガティブな結論になりましたが、タウリンに関する研究がさらに進むことで筋トレの必須アイテムとなる日が訪れるかもしれません。
最新情報に注目しましょう‼
エビデンスに基づくトレーニング方法などを解説しています。興味がある人は下記よりご覧ください。
– 【HIITの真実】HIITを行っても脂肪はそんなに減らないし、減量はそこまで進みません
– エビデンスに基づく効果的な腹筋の鍛え方~システマティックレビューから見えたトレーニング方法~
– 【エビデンスに基づく効果的な筋トレ】ブルガリアンスクワットってどんな運動??
参考資料
- 高橋祐美子他 : 運動時の疲労および運動後の疲労回復に対するタウリン摂取の効果
- Mark Waldron et al: The Effects of an Oral Taurine Dose and Supplementation Period on Endurance Exercise Performance in Humans: A Meta-Analysis
- Ulrich Warskulat et al : Taurine transporter knockout depletes muscle taurine levels and results in severe skeletal muscle impairment but leaves cardiac function uncompromised
- Takashi Ito et al : Tissue Taurine Depletion Alters Metabolic Response to Exercise and Reduces Running Capacity in Mice
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