ベンチプレスで大胸筋を効率的に鍛えるために重要なこと|エビデンスに基づく筋トレ解説

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ベンチプレスで大胸筋を効率的に鍛えるために重要なこと|エビデンスに基づく筋トレ解説

ウエイトトレーニングにはBig3と呼ばれる代表的な3種目があります。

それはベンチプレス、デッドリフト、スクワットです。

今回紹介するベンチプレスはBig3の中でも上半身を主に鍛えるトレーニングになります。

上半身の中でも特にターゲットとなるのが胸、肩、上腕(後面)です。

これらの中でもベンチプレスに取り組む人の大多数がをターゲットにしています。

実際にターゲットとなる部位を効果的に鍛えてあげるためには、その部位の解剖学的特徴や運動学的特徴、活動様式について理解しておく必要があります。

今回は筋電図という筋肉の活動を定量的に評価できる手法を用いた研究の結果をもとに、ベンチプレスで活動する主な筋肉の特徴について解説します。

ベンチプレスで主にターゲットとなる3つ筋肉

ベンチプレスでターゲットなる筋肉は以下の筋肉です。

大胸筋

詳細はこちらをご覧ください。

三角筋前部

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上腕三頭筋

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研究報告をもとに大胸筋を意識したベンチプレス方法を考える‼

みなさんご存知のように、ベンチプレスでは大胸筋が主に鍛えられます。

実際に筋電図を用いて計測される筋肉の活動も大胸筋が最も大きくなります。

また、報告により若干の差異はあるものの三角筋と比較して上腕三頭筋の筋活動が大きくなります。

つまり、ここまでをまとめるとベンチプレス中の筋活動量は大胸筋<上腕三頭筋<三角筋前部となります。

しかし、それぞれの筋肉の活動は条件によって変化してしまいます。

例えば、トレーニング強度、運動速度、運動範囲(可動域)、疲労、メンタル、動作自体の安定性などが挙げられます。

大胸筋を鍛えるて胸板を厚くすることを目的にベンチプレスに取り組む人が多いかと思います。

しかし、実際のベンチプレスでは大胸筋の他にも上腕三頭筋や三角筋前部などの筋肉も強く活動していしまいます。

上腕三頭筋や三角筋前部が大胸筋の活動を過剰に補ってしまうことで大胸筋に刺激が入りにくくなり、筋肥大を誘発しにくくなることが考えられます

しっかりと大胸筋に刺激が入るようなベンチプレスを行うためにはどの様な工夫が必要になるのでしょうか?

筋電図を用いた研究結果からこの問題を解決するためのヒントとなる情報が得られました。

それは以下の通りです。

  1. バーベルを胸に下ろしきった部分では明らかに上腕三頭筋の活動が減少し、大胸筋優位な動作となることが報告されている。
  2. バーベルを50%程度持ち上げた状態で三角筋前部と上腕三頭筋と比較して大胸筋は強く活動することが報告されている。
  3. グリップ幅を広げた状態(肩幅よりやや広い程度)の場合、上腕三頭筋の筋活動は少なくなる
  4. 過剰に背中を反るなどの代償動作を行わない
  5. ベンチプレスによって疲労した状態でも大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋の中で大胸筋はもっとも筋活動が維持される
  6. バーベルを胸までおろした状態から持ち上げ始める時に最も強い筋活動を発揮する(大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部ともに)
  7. スミスマシンを使用したベンチプレスの場合、三角筋前部の活動が大きくなる
  8. 筋肉の活動様式には個人差が大きい(他人の方法を模倣するだけでなく自分の身体と相談することも重要)

以上、8つの項目を考慮すると大胸筋を意識したベンチプレスを行うことができます。



まとめ

ベンチプレスで大胸筋を意識的、効果的に鍛えるためには「背中を過剰に反るなどの代償動作を抑え、胸まで下ろしたバーベルを持ち上げる時に反動を使わない、大胸筋を意識(胸を寄せるように少しだけ力を入れると意識しやすい)しながら行う」といったことがポイントとなります。

当たり前のことのようですが、研究報告といった科学的根拠がある情報からも当たり前のことが重要であることが分かりました。

参考資料

  • 林直亨他:週1回の大学授業における筋力トレーニングが筋力に与える影響.体育学研究 54:137–143,2009年
  • 坂井建夫:プロメテウス 解剖学アトラス
  • 鳥野敬四郎他:ハーフスクワットとベンチプレスにおける負荷量と筋活動量との関係
  • 半田徹他:筋力トレーニングのベンチプレス系3種目における大胸筋、前鋸筋および三角筋の筋電図学的研究.スポーツ科学研究, 5, 58-70, 2008 年
  • Petr Stastny et al.:A systematic review of surface electromyography analyses of the bench press movement task, 2017

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