筋トレで得られる効果を知ろう
筋トレを始めると、見た目や体力に大きな変化を感じる方も多いでしょう。
しかし、その変化の裏でどんな仕組みが働いているか、考えたことはありますか?
特に「筋力強化」と「筋肥大」のメカニズムについて知っておくことで、より効果的なトレーニングが可能になります。
今回は、この筋力強化と筋肥大の基礎知識を分かりやすく解説していきます!
別記事でもエビデンスのある情報をもとに筋力強化や筋肥大について解説しています。興味がある方はご覧ください。
– 効率的な筋肥大を実現する筋トレ方法
– 同一筋内での部分的な筋肥大について
– 筋トレ効果を最大限にするための筋トレメニューの工夫
– 低負荷でも筋肥大は可能なのか⁉
– ASCMが推奨するトレーニングプロトコルとは??
筋力アップの仕組み:神経と筋肉の二大要因
トレーニングを続けていくと、以前は重たく感じていたウェイトが楽に持てるようになってきますよね。
これは、筋肉そのものの発達だけでなく、神経系の働きが改善された結果でもあります。
筋力が増す仕組みには、次の2つの要素が大きく関わっています。
- 神経系の改善 – 筋肉が効率よく力を発揮できるようにする
- 筋肥大 – 筋肉のサイズが増加し、見た目にも大きくなる
この2つの要素について、詳しく見ていきましょう!
筋力強化のカギを握る神経系の働き
筋力アップには、神経系の働きが欠かせません。
筋トレを始めたばかりの頃は、筋肉自体が急に大きくなるわけではなく、神経の働きが向上することで筋力が増えていきます。
以下の3つのメカニズムが主なポイントです:
- 運動単位の活動 – 脳からの信号が効率的に筋肉に伝わるようになることで、より大きな力を発揮できるようになります。
- 拮抗筋の抑制 – 動作を妨げる筋肉(拮抗筋)の活動が抑えられ、メインの筋肉が効率的に働けるようになります。
- 運動パターンの学習 – トレーニングを繰り返すことで、体が自然と効果的な動きを覚え、力を出しやすくなります。
これらのメカニズムが向上することで、トレーニングの初期段階(約4~6週)に筋力アップを実感しやすくなるのです。
筋肉が大きくなる仕組み:筋肥大のメカニズム
次に、筋肉自体が大きくなる「筋肥大」の仕組みについて見ていきましょう。
筋肥大は、筋トレ開始から約4週間後から始まり、筋線維のサイズ増加や新しい筋線維の形成によって進行します。
筋肥大のために必要な要因には以下の2つが重要です。
- 内分泌系因子(ホルモン) – 筋トレにより、筋肉の成長を促すホルモン(アンドロゲン、成長ホルモンなど)が分泌され、筋肥大をサポートします。
- 機械的負荷 – 高い負荷を筋肉にかけることで、筋線維に微細な損傷が生じ、それを修復する過程で筋肥大が進行します。
一般的には、最大筋力の70%以上の負荷が必要とされますが、低負荷でも筋肉を限界まで追い込めば効果が期待できることも分かってきました。
効率よく筋肉を育てるために
筋トレの効果を最大化するためには、神経系と筋肉のメカニズムを理解し、適切な負荷や頻度でトレーニングを行うことが大切です。
特に、初心者のうちは神経系の発達が筋力強化に直結するため、フォームや動作を意識しながら丁寧にトレーニングを進めてみましょう。
筋力を強化し、理想の体を目指して、筋トレのメカニズムを活かした賢いトレーニングを始めてみてください!
参考資料
- 市橋則明:筋を科学する-筋の基礎知識とトレーニング-理学療法学 第41巻 第4号 217-221, 2014 年
- Housh DJ,et al.: Hypertrophic response to unilateral concentric isokinetic resistance training. J Appl Physiol. 73(1) 65‒70 , 1992
- Narici MV, et al.: Changes in force, cross-sectional area and neural activation during strength training and detraining ofthe human quadriceps. Eur J Appl Physol. 59(4) 310‒319 ,1989
- Cureton KJ, et al.: Muscle hypertrophy in men and women. Med Sci Sports Exerc. 20(4) 338‒344,1989
- 石井直方:筋肥大のメカニズムと筋力トレーニングの接点.日本臨床スポーツ医学会誌:Vo1.11No.3,2003.
- 山田実:筋力トレーニングの基礎.総合リハ・第46 巻5 号2018 年5 月号
- 津田英一:筋力増強の理論.Jpn J Rehabil Med 54, 740-745, 2017
- 横山茂樹:筋力トレーニングの効果-神経因子の改善と筋肥大効果.PTジャーナル 第 52巻第5号.2018年
- 本間研一:標準生理学 第9版
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